10Gbpsで動作する宇宙光通信機を開発――技術試験衛星9号機に搭載し動作確認を実施予定 NEC

NECは2022年9月5日、10Gbpsで動作する宇宙光通信機向け技術を開発し、そのプロトタイプを製造したと発表した。

宇宙と地球との間のリアルタイム通信の速度向上手段として、宇宙光通信技術への期待が高まっている。宇宙光通信は、データ中継システムや静止軌道衛星ベースの汎用衛星通信放送システムの高速化(HTS化)、低周回軌道衛星ベースの衛星コンステレーションにおけるネットワーク構築手段として注目されている。

今回開発した技術は、HTSにおける衛星-地上間フィーダーリンクへの適用を念頭に置いたものだ。高速化およびマルチーユーザRFリンクとの親和性が念頭に置かれている。また、その先のネットワーク化や地上通信システムとの接続を前提に、地上システムで標準的に使われているイーサネットをインターフェースとして採用した。

地上の高速光通信システムで広く利用されている1.55μm帯を使用。静止軌道衛星-地上間や静止軌道衛星-低軌道衛星間に相当する約4万kmの長距離システムへの適用を前提とした、最適な誤り訂正符号化技術を採用した。

また、宇宙では長期間運用が前提となるため、各装置は高い信頼性を有している必要がある。しかし、10Gbpsでの超高速動作で、かつ宇宙環境で動作保証された部品が少ないために、地上システム向けの光部品や高周波部品の宇宙システムでの適用を目的とした、新たな選別手法や実装手法も開発した。

開発機は、2023年打ち上げ予定の技術試験衛星9号機(ETS-9)に搭載して、宇宙環境での動作確認を実施する予定だ。その結果を受けて長期信頼性の向上や小型化、低コスト化などを進め、製品化につなげる。

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