次世代コンピューター向けに10nm以下の微細構造を実現する手法――細胞膜の基本構造がヒント

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Credit: Purdue University

米パデュー大学の研究チームは、細胞膜を構成する物質でもあるリン脂質を利用して、金のナノワイヤ(AuNW)を配線する方法を発表した。鍵となったのは、少量の水だ。10nm以下の微細構造が可能になり、次世代コンピューターへの適応が期待できる。研究結果は、2019年7月25日付けの『Chem』に「1-nm-Wide Hydrated Dipole Arrays Regulate AuNW Assembly on Striped Monolayers in Nonpolar Solvent」として掲載された。

この10年でコンピューターの進歩は急速に発展し、集積回路のトランジスタの数が2年ごとに倍増するというムーアの法則には限界が見えてきたと言われている。特に、次世代コンピューターに必要とされる10nm以下の微細構造は、製造コストを押し上げることになるだろう。

しかし、自然界に目を向ければ、10nm以下の構造は特別に珍しいものではない。「生物学には、物の表面に化学情報を組み込むための素晴らしいツールキットが存在する」と、研究チーム率いるShelley Claridge准教授は語る。研究チームは、生物の細胞膜に着想を得て、材料をナノスケールで配列させる方法を開発した。またその方法は、水分が少ない非生物学的な状況下で、より強力になる可能性があるという。

細胞膜を構成する物質のひとつであるリン脂質は、親水性の極性頭部と疎水性の尾部を持つ。研究チームは、無極性溶媒のシクロヘキサン中で、リン脂質を使ったAuNWのアセンブリを試みた。ストライプ構造を持たせたリン脂質は、その極性頭部を露出している。ポイントは、その極性頭部に水が吸着し、nm幅のチャンネルが形成される点だ。水和した部分に細くて柔軟なAuNWが集まり、直線に配置することができた。部分的な極性環境が形成されることで、無極性環境でもAuNWの制御ができる。AuNWの直径は2nm、長さは最長1μm、AuNWの中心間距離は12~30nm、その領域は100μm2に及ぶという。

「我々は水の重要性に非常に驚かされた。我々の身体のほとんどは水分でできている。そのため細胞膜中の分子の機能は水に依存する。膜の構造を非生物学的なものにして乾燥させたあとでも、これらの分子はその機能を果たすために、乾いた冬の空気からでも十分な水を引き出すことができる」と、Claridge准教授はその可能性に期待をよせる。

関連リンク

Transforming biology to design next-generation computers, using a surprise ingredient

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る