厚さわずか2原子の金ナノシートの製造に成功

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英国リーズ大学の研究チームが、わずか2原子分相当の厚さの金ナノシートを作成する手法を開発した。常温におけるシンプルな水溶液合成によって作成するもので、得られる金ナノシートは、極めて高い触媒効率が得られることが示された。化学産業だけでなく、電子デバイスや医療分野においても、幅広い応用が期待される。研究成果は、2019年8月6日の『Advanced Science』誌に公開されている。

金は財産価値としてだけでなく、電子デバイスから研削機械や科学機器など産業プロセスにおいても、必要不可欠な材料として用いられている。特に数nmから数10nmの金ナノ粒子は、特徴的な光学特性や高い触媒機能を持つことから、バイオイメージングなどの医療分野に活用され、排気ガスの浄化などでの活用の検討も進んでいる。ところが今日使われている金ナノ粒子では、大部分の金原子は表面層から深く隠れたバルク原子だ。つまり他の物質と接触することがなく、化学反応の触媒として機能しないため、経済効率の観点で高価なものになっている。

リーズ大学の研究チームは、厚さ1nm以下の2D金ナノシートを作成することにチャレンジし、これまでで最も薄い、厚さ2原子の金ナノシートの作成に成功した。ナノシートの厚さはわずか0.47nm。ここでは全ての金原子が表面原子となり、バルク状の非反応性の原子がない。全ての原子が有効活用されるため、高い経済効率を有し、大幅なコストダウンをもたらすことが可能だ。

この技術の特徴の1つは、シンプルな手法で作成できることだ。研究チームは、塩化金酸の水溶液を原料とし、それにph指示薬として知られるメチルオレンジの拘束効果により、20℃において塩化金酸を2原子厚さのシートに還元することに成功した。生成された金ナノシートは、4-ニトロフェノールの還元に対して優れた触媒機能を持ち、また体内のH2O2を分解する酵素と同様の効果を持つことが示された。

Stephen Evans教授が指導する研究チームは、開発プロセスは単に金だけに限定されず、多くの様々な元素や材料のナノシートの作成に利用でき、既存の産業プロセスやハイテクデバイスを変革する可能性があると考えている。2D金ナノシートは、比較的シンプルなプロセスで容易にスケールアップできるので、産業界と協力して開発が進むことを期待している。

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