安価かつ簡便な液相法を用いてマルチフェロイック材料の作製に成功――次世代電気/磁気デバイスの開発に期待 豊橋技術科学大など

開発した作製プロセスの 各段階での試料の形態(上)試料のイメージ図(下)電子顕微鏡写真

豊橋技術科学大学は2019年9月4日、高度なマルチフェロイック特性を示すナノ複合膜を、安価で簡便に作製できる液相プロセスを開発したと発表した。この成果により、低消費電力/大容量のメモリデバイスや空間光変調器、様々なセンサー等への応用が期待できるという。

マルチフェロイック材料は、電気的な特性(強誘電性)と磁気的な特性(強磁性)を併せ持ち、電場(磁場)によって磁気(電気)を誘起する電気磁気効果を示す。そのため、多機能かつ高性能な次世代電気/磁気デバイスの材料として期待されている。しかし、その作製法として採用されていた気相法では、大型で高価な設備が必要とされ、また材料の大面積化は現実的ではなかった。そのため、応用検討の範囲は限定されていた。

そこで、研究チームは、安価で簡便な液相法のみを駆使してナノピラーアレイライクな複合膜の作製に着手。従来の気相プロセスに比べて安価にマルチフェロイック複合膜を作製することに成功した。また、今回開発した複合膜では、強誘電体と強磁性体の界面で局所的にエピタキシャル、つまり互いの結晶面が揃っている状態にあり、それによって電気磁気効果が発現していることがわかった。なお、開発した手法は、大面積化にも対応できるという。

今後は、ナノ構造のさらなる精密化によって電気磁気効果を改善し、プロセスの最適化に取り組むと説明している。最終的には、大面積化を行うことで、空間光変調器へ応用し、3次元像を構築できる空間ディスプレイなどへの展開を考えているという。

なお、今回の研究は、ファインセラミックスセンター、茨城工業高等専門学校、ポルトガルの国際イベリアナノテクノロジー研究所、中国の長安大学、ドイツのエアランゲン-ニュルンベルグ大学と共同で実施。さまざまな専門性を融合することで実現したという。

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