独自開発の触媒を用いて高価な重水素を安価な原料から製造――ギ酸と重水を原料とし特殊な重水素の選択的な作り分けに成功 阪大とJST

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大阪大学は2019年9月25日、JST戦略的創造研究推進事業において、同大学の研究グループが、独自に開発した触媒を用いて安価なギ酸(HCOOH)と重水(D2O)を原料として、高価な重水素(D2およびHD)を選択的に作り分けて製造することに成功したと発表した。

水素(H2)の同位体化合物である重水素は、化学や生物学の実験研究用試薬や半導体、光ファイバーなどの製造工程でも使用される特殊ガスである。現状、エネルギー多消費型のプロセスで合成されているため非常に高価であり、加えて日本ではそのほとんどを海外からの輸入に頼っているため、触媒技術を用いた簡便な合成法が切望されていた。

ギ酸は安価で安全な液体であり、かつ水素貯蔵密度が高いことから次世代のエネルギーキャリアとして近年注目されている。これまで同研究グループは、塩基性シリカにPdAg(パラジウム-銀)合金ナノ粒子を担持した触媒が、ギ酸を分解して水素を製造する優れた金属触媒となることを世界に先駆けて報告してきた。

今回、同研究グループはこの触媒を重水中でのギ酸分解に用いると、高価な重水素が高効率で生成されることを発見した。さらに表面の塩基性を変えるだけで重水素を選択的に作り分けることに成功し、選択性はそれぞれ最大87%(D2)と80%(HD)に達した。

今回開発した触媒は、調製が極めて簡便、安定性が高く分離/回収の容易な固体触媒、塩基性を制御することで目的の重水素を任意に得られる、など実用化に不可欠な基盤要素を兼ね備えている。そのため、今後は重水素の世界的な需要拡大に対応できる低コスト製造法として期待できるという。また、今回発見した触媒反応は、特定の条件では量子トンネル効果に支配されていることを速度論的な解析と理論計算を用いて証明しており、学術的な意義も高いとしている。

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