セイコーインスツル(SII)は2019年10月8日、表面実装の工程におけるリフロー実装を可能にしたマンガン–シリコン(MS)系リチウム二次電池「MS621R」を発売したと発表した。出荷は2019年11月から。MS621Rの最大充電電圧は、マンガン–リチウムアルミ合金(ML)系リチウム二次電池を上回る3.3Vだ。
MS系リチウム二次電池は、主に機器の内部でリアルタイムクロック(時計機能)のバックアップ電源、記憶保持機能の電源として使われる。多くの電子機器の高性能化が進む中、部品点数が増加することから、製造工程における生産効率の向上や品質の安定化のために、リフロー実装可能な二次電池のニーズは高まっている。
リフロー実装は、基板の表面実装の一種。基板のパッドにペースト状のはんだを塗布し、その上に表面実装部品をマウントした後、専用のリフロー炉を使って基板全体を熱し、はんだを溶かして接合する技術だ。従来MS系リチウム二次電池は、このリフロー実装が不可能だった。
リフロー実装に対応したMS系リチウム二次電池であるMS621Rは、従来のML系リチウム二次電池に比べて高耐圧。最大3.3Vでの充電が可能だ。また、約3倍の高容量で、充放電サイクル特性も優れている。
MS621Rは公称容量が3.0mAh、内部インピーダンスが400Ω、動作可能温度範囲がー20~+60℃、サイズが直径6.8×高さ2.1mm。SIIは、よりサイズの小さいMS421R(4.8×2.1mm)も量産の準備を進めている。