- 2021-6-29
- 化学・素材系, 技術ニュース, 海外ニュース
- 2次元構造, Haolan Xu, フィン型ヒートシンク, 南オーストラリア大学, 太陽熱蒸発装置
気候変動や人口増加といった要因を受けて、世界の水問題が深刻化する中、南オーストラリア大学のHaolan Xu准教授が率いる研究チームは、水資源の脆弱な地域での運用が可能な太陽熱蒸発装置を開発している。
同大学が2021年4月16日に投稿した記事によると、装置はわずか1m2の源水から、4人家族の1日分に相当する新鮮な飲料水を生成可能だというだ。
既存の太陽熱蒸発装置は基本的に2次元構造で、熱が源水や空気中に放散することからエネルギーの10~20%が損なわれていた。研究チームによる3次元のフィン型ヒートシンクのような蒸発装置は、表面が周囲の水や空気よりも低い温度に保たれ、これまでとは逆に外部環境からのエネルギーが取り込める。装置は、水と環境から最大170%のエネルギーを引き出すとのことだ。
こうした効率性に加え、装置は低コストで簡単に手に入る材料から構築されている面でも実用的だ。光熱構造の設計により、装置表面に塩やその他の汚染物質が蓄積するのを防げて保守しやすい。装置の構築と展開も簡単で、財政面や運用面でほかの装置の導入が難しい地域での選択肢にもなり得る。同技術は、飲料水の生成に加えて、廃水処理などの幅広いアプリケーションに適用可能であるとしている。