脳はどのように記憶を呼びだすのか――GPSナビのように記憶をマッピングする仕組みを確認

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米コロンビア大学コロンビア・エンジニアリング生物医学工学科のJoshua Jacob准教授らのグループは、ヒトが「メモリトレースセル(memory-trace cell)」と呼ばれるニューロンを使って特定の記憶を思い出している証拠を見出した。この研究は、嗅内皮質における神経活動を調査したもので、アルツハイマー病の記憶障害の原因究明に関わる可能性がある。成果は2019年11月11日、『Nature Neuroscience』誌に掲載された。

人間の記憶の重要な機能として、特定の状況で発生した膨大な経験の中から、特定の瞬間を思い出せるということがある。例えば、何度も訪れた都市への旅行の記憶からでも、脳は何らかの方法で特定の出来事を選択し、他の旅行の経験と区別することができる。

この機能については、海馬や嗅内皮質に「場所細胞(place cell)」と「グリッド細胞(grid cell)」があり、これらのニューロンは、まるでGPSナビゲーションのように特定の場所を示すために活性化することが知られている。しかし、この脳内の「空間マップ」が、その場所での出来事を留めた記憶に関連するのか、それにこれらの領域の神経活動がどのように特定の記憶に辿り着くのかは明らかではなかった。

今回の研究は、コロンビア大学アービングメディカルセンターを含むいくつかの病院の19人の神経外科患者の協力を得て行われた。被験者は薬剤耐性てんかんの臨床治療のための記録電極が脳にインプラントされており、それを利用することで単一ニューロンの活動を測定することができた。

研究グループは、実験用のVRゲームを被験者に用意し、被験者はゲーム内の仮想環境を動き回り、固有のオブジェクトの場所を学習した。VR環境内を移動する際のニューロンの活動を測定したところ、特定の場所に移動したときに常に活性化されるニューロンを見つけた。これは、空間的位置にのみ関与する場所細胞に似ており、ナビゲーションのGPSのように機能している。

さらに、別のニューロンが、被験者が思い出している記憶に関連する場所でのみ活性化することも分かった。さらに別の記憶を思い出すよう指示されるたびに、このニューロンは新しい対象に一致する場所で活動した。これはまるでGoogleマップ上にセットしたピンのように機能している。研究チームはこうした一連のメモリトレースニューロンの活動と、被験者が実際にどの記憶を呼び出そうとしているかが一致していることを確認した。

このメモリトレースセルは、アルツハイマー病の発症によって影響を受ける脳の領域の1つ「嗅内皮質」で多く見出されたという。アルツハイマー病などの疾患により、この活動が阻害されたことで記憶障害を引き起こしている可能性がある。

この成果は、脳神経の活動がどのように過去の出来事を想起するために機能しているのか、さらに脳内で空間と記憶がどのように重なっているのかについて、新たな研究の道を拓くものだと考えられている。

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Specific Neurons that Map Memories Now Identified in the Human Brain

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