ノンフラーレン受容体が高い変換効率を示す仕組み――有機太陽電池の改良に向けた研究

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分子スケールの研究により、電子受容体(アクセプター)としてフラーレンを使用しないノンフラーレン有機太陽電池における、発電効率向上の要因の一端が明らかになった。これはジョージア工科大学のJean-Luc Brédas教授らによる研究で、成果は2019年11月20日、『Matter』誌に掲載された。

近年有機太陽光発電において、電子受容体として炭素原子がサッカーボールのように構成されている分子であるフラーレンを使うものから、フラーレンを使わないノンフラーレンのもの(Non-Fullerene Acceptors:NFA)へのシフトが起きている。これは、有機太陽電池における発電効率がわずか1%だったのに対し、NFAでは18%を超えることが明らかになったからだ。

理論的には、分子構造を最適化してエネルギー損失を制御できれば、25%を超える変換を達成できると見られている。ただ、なぜNFA型の有機太陽電池が高い効率を示すのか、分子レベルでどのように機能するかは分かっていなかった。

今回研究チームは、細かな分子形状まで慎重にモデル化し、NFAにおける電子ドナー/アクセプターのエネルギー変換を計算した。分かり易く例えると、アクセプターは野球の「キャッチャー」に相当する分子であり、電子が「ボール」だ。電子ドナーの分子が、電子のボールをキャッチャーのアクセプターに投げることにより、電流が生じる。

研究により、当初電子をやりとりする分子形状の調整によって性能が向上すると思われたが、実際にはキャッチャーの足の位置に相当する部分を調整することで性能が向上することが分かった。つまり、アクセプターの「ボディ」が電子ドナーの「ボディ」と整列するような配置において、変換効率が高くなることが分かった。ここで言う「足」は、アクセプター構成要素のメトキシ基のことで、取り得る4つの位置のうち、2つの位置において、変換効率を6%から12%に向上することが分かった。

研究チームによると、炭素原子のみで構成されるフラーレンを受容体とする場合、炭素分子は均一で幾何学的に配置されているため、自由度が低く、構造を調整する余地がない。それに対してNFAベースのドナーとアクセプターは柔軟で互いが絡みつくように配置させることが可能で、電子の受容に適した構造を持たせやすいためだと説明されている。

固くて柔軟性のないシリコンベースの太陽電池に対して、柔軟性の高い有機半導体には広い応用例が期待されている。今回、NFA有機太陽電池の変換効率を高める構造について、分子工学的な解析が進んだことで、さらなる性能向上が期待される。

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