- 2020-2-18
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- カーボンナノチューブ, カーボンナノファイバー, ポリロタキサン, 水中プラズマ技術, 環動高分子, 産業技術総合研究所, 産総研, 研究, 繊維状カーボン
産業技術総合研究所は2020年2月17日、東京大学らと共同で、カーボンナノファイバー(CNF)とカーボンナノチューブ(CNT)の2種類の繊維状カーボンなどを用いて、ゴムのような柔軟性を持ちかつ金属並みの高い熱伝導性を示すゴム複合材料を開発したと発表した。
同研究所によると、フレキシブル電子デバイス用の熱層間材や放熱シート向けの柔軟で高い放熱性を持つ熱マネジメント材料が注目を集めている。同材料の実現に向けて、熱伝導性の高いCNFやCNTと、柔軟なゴム素材の複合材料が研究開発されている。しかし、多量のCNFをゴム材料などに添加すると柔軟性が失われてしまったり、繊維状カーボンを複合材料中に一様に分散させるのが難しかったりするなどの課題があった。
今回の研究では、高分子への分散が困難であった繊維状カーボン(CNFおよびCNT)を水中プラズマ技術で表面改質して分散性を向上。環動高分子のポリロタキサンと複合化させた。さらに複合化する過程で交流電界をかけてCNFを一定方向に配列させた。これにより、CNFの配列方向では14W/mKの高い熱伝導性を示すと共に、繊維状カーボンを50wt%加えても高い柔軟性を示した。加えて繰り返し変形しても脆化を起こさなかった。
今回開発したゴム複合材料は、フレキシブル電子デバイスの熱層間材や放熱シート、放熱板などへの応用が期待されるという。
同研究所では今後、CNFの配向条件や改質条件を最適化し、熱伝導性と柔軟性の向上を図ると共に、企業との共同研究を通じて部材やデバイスへの展開および実用化を図る。