強力で速く効率的に動く人工筋肉を開発

Image: University of Texas at Dallas

テキサス大学ダラス校を中心とする国際研究チームは、駆動速度が高まると収縮量も増大するカーボンナノチューブ(CNT)ヤーン製の人工筋肉を開発した。新しいCNT人工筋肉は、電気化学的駆動を採用しており、CNTをポリマーコーティングして単極性にしている。研究の詳細は、『Science誌』に2021年1月29日付で公開されている。

CNTヤーンは、正または負のイオンが取り込まれると長さが収縮し太さが拡大するため、人工筋肉に適した材料だ。CNT人工筋肉は、電圧をかけることで人工筋肉と周囲の電解質の間で正または負のイオンの移動を起こし、筋肉を収縮または伸長させる。

電気化学的に駆動するCNT人工筋肉は、比較的高いエネルギー変換効率を持つため注目されているが、一方で課題もある。正または負のイオンの移動は電位がゼロになるまで続き、その後移動するイオンが逆転する。この双極性駆動が人工筋肉としてのストロークを小さくしてしまうため、筋肉の効率が低下してしまう。

研究チームは、この課題を解決するために、正または負に荷電したイオン伝導性材料である特殊ポリマーでCNTをコーティングした。その結果、CNTは正のイオンと負のイオンのどちらかだけを受け入れて、単極で動作できるようになった。また、この単極性CNT人工筋肉は、走査速度が速くなればなるほどストロークが増加することがわかった。

新しく開発した単極性CNT人工筋肉は、太さは140μmで人間の髪の毛の2倍程。また、人間の筋肉の約10倍の能力を持っている。

研究チームは、置換基の正負が異なるポリマーをそれぞれコーティングしたCNTヤーンを用いて、二重電極の単極性人工筋肉も作製した。原理的には、これらの人工筋肉を無限に組み合わせることで、実際の筋肉で行われている機械的な働きを付加することができる。また、固体電解質を用いて、液体電解質を使わずに駆動する人工筋肉の開発にも成功した。

この技術は、ロボット工学や衣類、心臓補助装置のような医療用インプラントへの応用が期待できるという。現在、研究チームは患者を対象とした研究の計画を進めている。

関連リンク

Unipolar stroke, electroosmotic pump carbon nanotube yarn muscles

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