リチウム空気電池の性能を向上する電極を考案――実用化にはまだ課題も

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Image: Daegu Gyeongbuk Institute of Science and Technology/Applied Catalysis B: Environmental

韓国大邱慶北科学技術院の研究チームが、リチウムイオン電池よりエネルギー密度が10倍も高いリチウム空気電池について、新しいナノ構造電極を提案した。正極材料としてグラフェンに硫黄原子をドープするとともに、ニッケルコバルト硫化物のナノフレークを塗布することにより、触媒活性を増大している。出力向上のネックになっている酸素還元反応を促進し、充放電サイクル特性を2カ月以上まで向上できるとし、研究成果は『Applied Catalysis B:Environmental』誌2020年4月号に掲載される予定だ。

リチウム空気電池などの金属空気電池は、正極活物質に空気中の酸素、負極に金属、そしてアルカリ系電解液を用いて、両極における酸化還元反応を利用して電流を生成する。金属空気電池は、酸素を空気から取り込むことできるので、電池スペースを小さくしてコンパクトにでき、かつエネルギー密度が極めて高いなどの特長がある。一方で、正極における酸素還元速度が相対的に低く、電気自動車向けとするには、単位重量あたりの出力を向上させる必要がある。

今回、韓国の研究チームは、リチウム空気電池において触媒活性を増大する、新しい正極構造の考案に取り組んだ。まず、グラフェン正極に硫黄原子をドープすることによって、多孔質グラフェン結晶格子を拡げて表面積を増大することを試みた。「これにより、電子はグラフェン内をもっと速く動くようになり、電気伝導度が向上する」と、研究チームは語る。

次に正極表面にニッケルコバルト硫化物ナノフレークを塗布することで、触媒活性を増大させた。これは、「グラフェン表面とナノフレークの間に、強力な複合的触媒活性効果が生じるとともに、正極表面と腐食性の強い過酸化リチウム副産物の間に保護層を形成する」ことを利用するもので、この結果、充放電サイクル特性を1700時間または2カ月以上、比放電容量もほぼ14200mAh/gと顕著に向上できることを確認した。

ただこの結果を巡っては、エネルギー技術を専門とするイギリスEnergy Lancaster研究所のHarry Hoster所長が、「非常に面白い正極構造の提案」と認めながらも、「電極触媒活性および放電特性を、過酸化リチウム副産物が多く存在する現実的な条件で検証すべきだ」と指摘している。更に、充電効率の低いこと、激しい化学反応性を持つ純リチウム負極や過酸化リチウム副産物の扱いが難しいこと、空気中の水蒸気の影響等、従来からのリチウム空気電池の本質的な問題は、未解決のままだとし、「(評価は)慎重にならざるを得ない」とコメントしている。

関連リンク

The synergistic effect of nickel cobalt sulfide nanoflakes and sulfur-doped porous carboneous nanostructure as bifunctional electrocatalyst for enhanced rechargeable Li-O2 batteries

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