- 2020-6-19
- 技術ニュース, 電気・電子系
- 300GHz帯テラヘルツ無線, Beyond 5G, Beyond 6G, National Research Tomsk State University, Tomsk Polytechnic University, ソフトバンク, 岐阜大学, 情報通信研究機構, 研究, 超小型アンテナ
ソフトバンクは2020年6月18日、岐阜大学、情報通信研究機構、National Research Tomsk State University、Tomsk Polytechnic Universityと共同で、Beyond 5G/6G時代を見据えて、300GHz帯テラヘルツ無線(以下、テラヘルツ無線)で動作する超小型アンテナの開発に成功したと発表した。
超高速無線システム候補として期待されるテラヘルツ無線は、5Gで利用されるミリ波帯と比べ、より広い周波数帯域が利用できる。しかし、周波数の伝搬損失が大きく、実用化には利得の高いアンテナの開発が必須となっていた。利得はアンテナの寸法を大きくすることで向上できるが、スマートフォンなどへの実装を考えると、サイズと利得を両立する必要があった。
そこで研究グループは、無線信号波長(約1mm)と同程度の大きさの直方体型誘電材料を使用することで発生するフォトニックジェット効果に着目し、テラヘルツ無線通信用の超小型アンテナを開発した。開発したアンテナは、利得をシミュレーション値で約15dBiと大きく保ったまま、無線信号波長と同程度の1.36×1.36×1.72mmのサイズ(開口面積1.8mm2)を実現している。
これは、同程度のアンテナ利得のホーンアンテナと比較して体積が約40%程度にまで小型化されることに相当。また、同寸法のホーンアンテナと比較した場合は、3dBビーム幅(FWHM)がE面で80%程度、H面で 70%程度に狭窄化されたことに相当する。
ソフトバンクは今後、テラヘルツ無線伝送システムに超小型アンテナを適用し、無線送受信機の実現可能性を調査するという。無線信号波長と同サイズの小型化アンテナの実現により、テラヘルツ無線で動作する集積回路への実装が可能となれば、Beyond 5G/6G時代の超高速無線通信などの実用化に貢献することが期待できる。