日本の切り絵にヒントを得た、摩擦を大きくする靴底シート――氷などの滑りやすい面上での転倒防止に

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Credit: Diemut Strebe

マサチューセッツ工科大学とハーバード大学の研究チームは、日本の切り紙をヒントに、靴底に貼り付けて地面との摩擦を大きくし、氷の上など滑りやすい面での転倒を防ぐシートを開発した。研究成果は2020年6月1日、『Nature Biomedical Engineering』に掲載された。

切り紙は、複雑な模様を紙に切り、それを折りたたんで3次元構造を作る伝統的なアートだ。近年この技術を応用し、関節にしっかりと貼り付く絆創膏や、ソフトロボットの外殻を覆うセンサーなどが開発されている。

今回研究チームは切り紙の技術を用いて、転倒防止目的でプラスチックや金属のシートに複雑なスパイク状の模様を形成した。靴底に貼り付けるシートは、着用者が立っている間は平らだが、歩行している間はスパイクが飛び出し、摩擦を制御できる。

研究チームは、プラスチックシートとステンレス鋼で、正方形、三角形、曲線状のスパイク模様など、いくつかのデザインを作成し、形状ごとにさまざまなサイズと配置をテストした。そして材料を伸ばした時にスパイクが飛び出す剛性と角度を測定した。

次に氷や木材、ビニル仕上げ床材など、さまざまな面の上で、それぞれのデザインが生じる摩擦力を測定した。その結果、すべてのデザインで摩擦が大きくなり、特に凹曲面パターンで最も摩擦が大きくなると分かった。

その後、実際にこの凹曲面パターンをスニーカーやブーツに装着し、1インチ厚の氷を載せた測定器上を歩いた時に生じる摩擦を測定した。その結果、生成される摩擦は、靴だけの場合よりも20〜35%大きいことが分かった。

この技術は氷の上だけでなく、水や油で滑りやすい作業環境でも有効性が期待される。特に高齢者が、滑りやすく危険な場所で転倒するのを防ぐのに役立つ可能性がある。

現在、研究チームは、このパターンを靴底に埋め込むか、必要な時に取り付けられるようにするか、商品化を見据えた検討を行っており、強度の高いスチールチップを付けたゴム状ポリマーなど異素材を用いる可能性も模索中とのことだ。

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