高速/精密に銅コーティングできる青色半導体レーザー複合加工機を開発――ウイルスリスク低減による公衆衛生環境への活用 阪大、ヤマザキマザックら

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新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2020年7月1日、大阪大学、ヤマザキマザック、島津製作所と共同で、高輝度青色半導体レーザーを活用し、銅を高速/精密にコーティングできるハイブリッド複合加工機を開発したと発表した。これまでの6倍以上の速度で、銅をステンレスやアルミニウムなどの金属材料へコーティングできる。

開発した加工機は、200W高輝度青色半導体レーザーを3台装着した600W級マルチビーム加工ヘッドを搭載し、レーザー集光スポットにおける高いパワー密度を達成している。

NEDOの「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP1期)革新的設計生産技術/高付加価値設計・製造を実現するレーザーコーティング技術の研究開発(2014年度~2018年度)」(以下、SIP1期レーザーコーティングPJ)において、大阪大学が中心となり、金属を精密レーザーコーティングできるマルチビーム加工ヘッドを開発した。2016年5月にマルチビーム加工ヘッドへ銅の加工に優位性のある青色半導体レーザー6台を装着し、ステンレス基板などに銅の精密レーザーコーティングを施している。

しかし、青色半導体レーザー1台の出力が20W程度、総出力も100W程度と限られており、レーザー集光スポットのパワー密度が低くコーティング速度が低下して3次元構造物への十分なコーティング機能がなかった。

そこで、200W高輝度青色半導体レーザー3台を装着した600W級マルチビーム加工ヘッドにより、銅を複雑な形状の部品などに高速、精密コーティングできるハイブリッド複合加工機を開発した。SIP1期レーザーコーティングPJで100W程度だった総出力が600Wに増大し、レーザー集光スポットで高いパワー密度を達成でき、銅のコーティング速度が6倍以上に向上した。

青色半導体レーザーの高輝度化により、鉄系、ニッケル系などの金属だけでなく、純銅や銅合金などの銅材料を高速度でコーティングできる。レーザー集光スポットにおけるパワー密度も6倍になり、これまで困難だった銅の多層コーティングもできるという。

また、これまで加工ヘッドを1回走査することで得られるコーティング領域の幅の最大値は400μm程度だったが、1000μm程度まで増大できる。この加工ヘッドを用いると、噴射される銅粉末材料を直接加熱することで母材表面の溶融を必要最小限とし、母材金属の混入が少なくゆがみの小さな精密コーティングができる。加工ヘッドは、直交するX・Y・Zの直線3軸とB・Cの回転2軸で、工具回転機能を持つハイブリッド複合加工機に搭載でき、各軸は同時5軸制御に対応。銅を複雑な形状の部品にコーティングできるという。

大阪大学とヤマザキマザックでは、石川県工業試験場、大阪富士工業と連携し、今回開発した加工機を使用して、ドアノブに殺菌、抗菌、ウイルス不活化作用のある銅の高速/精密レーザーコーティングを開始した。

ドアノブへのコーティング

今回開発した加工機は、さまざまな金属粉末にも適用できるため、より高い殺菌、抗菌、ウイルス不活化作用を有する銅合金粉末の開発に合わせて、手すり、取っ手、ドアノブなどの金属部品へ銅合金コーティングを応用できる。銅を人が接触する金属製の手すり、取っ手やドアノブなどにコーティングして細菌、ウイルスによるリスクを低減したり、航空、宇宙、電気自動車などの産業に必要とされる高精度な部品加工への活用も期待できる。

2020年末には、ヤマザキマザックがkW級青色半導体レーザーマルチビーム加工ヘッドを搭載し、10倍以上の速度でコーティングできるハイブリッド複合加工機を開発して2021年の製品化を目指す。

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