外部電源不要の人工腎臓を開発――今後の臨床試験も視野に

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血液をろ過して老廃物などを尿として排泄する腎臓は、その機能が低下すると週に何度も数時間かけて透析をしなければならない。腎臓移植も可能だが、腎臓が提供される患者は限られており、移植を受けた後も免疫抑制剤を服用し続ける必要がある。腎不全患者が直面するこうした問題は、免疫反応を引き起こさない人工腎臓によって解決できる可能性がある。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)とヴァンダービルト大学メディカルセンター(VUMC)が主導する全米規模のプロジェクト「The Kidney Project」は、血圧で作動する体内埋め込み型人工腎臓(iBAK)のプロトタイプを開発し、世界で初めて動物に移植して機能することを確認した。

この成果により、研究チームは「Kidney X」の「フェーズ1 人工腎臓賞(Phase 1: Artificial Kidney Prize)」を受賞し、賞金65万ドルを獲得した。Kidney Xは、腎臓病の予防、診断、治療におけるイノベーションの促進を目的として、米国保健社会福祉省(HHS)と米国腎臓学会(ASN)が設立した官民パートナーシップだ。

iBAKは、血液中の老廃物を除去するシリコン製ヘモフィルター(血液ろ過器)と、血中電解質のバランス調整などろ過以外の腎臓機能を再現するために腎臓細胞を搭載したバイオリアクターの2つのユニットで構成されている。

大きさはスマートフォンサイズで、外部電力やポンプが必要なく血圧だけで作動する。また、バイオリアクターは免疫反応を誘発せずにヒト腎臓細胞の培養を持続的にサポートする設計となっているため、重篤な副作用の可能性がある免疫抑制剤を服用する必要もない。

研究チームは、過去10年に渡りヘモフィルターとバイオリアクターの開発を進めており、iBAKはその2つを組み合わせた形だ。今後は、今回の前臨床試験を臨床規模にスケールアップして長時間の連続治療が可能であることを証明し、それをもとにした臨床試験を進めたいとしている。

関連リンク

The Kidney Project successfully tests a prototype bioartificial kidney
Artificial Kidney Prize Winners

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