自己モニター機能を備えた3Dプリント製血管インプラントを開発

Source: UW-Madison

ウィスコンシン大学マディソン校の研究チームは、血圧を電気パルスに変換することで、自ら血管の健康状態をリアルタイムでモニタリングできる3Dプリントの人工血管を開発している。研究成果は、『Advanced Functional Materials』誌に、2020年7月21日付で公開されている。

血栓や冠動脈疾患、脳卒中などの治療のために、多くの患者が血管の一部を人工血管に置き換えている。移植した血管はCTや超音波などの画像技術を用いてモニターするが、移植の40~50%は失敗に終わると言われている。研究チームは、3Dプリントで作製する自己モニター式の人工血管は、置換した血管の成功率を向上する可能性があると考えている。

人工血管の材料は、ナトリウム、カリウム、ニオバイト圧電セラミックスナノ粒子と、強誘電体であるポリフッ化ビニリデンポリマーの組み合わせた複合材料だ。電場印加により、極性を反転できる。3Dプリントを用いて管状の動脈を印刷する際に、ノズル近くの電場で材料を押し出し、セラミック粒子を分極させ、人工血管に圧電特性を与えている。

開発した人工血管は、圧力変動に基づいて電気パルスを発生することができるため、電源を使わずに血管内の血圧を正確に知ることができる。また、3D形状のため、電気パルスのプロファイルにより、非常に初期の段階で内部閉塞による不規則な動きがあるかどうかを検知できる。人工動脈を人工心臓システムに接続してテストしたところ、動脈内の血圧変化を正確に検出した。

研究チームは今後、循環系のよりリアルなモデルを使って人工動脈をテストすることを計画している。また開発した材料を使った人工心臓やその他の臓器の作製も視野に入れている。

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