大量に廃棄される個人用防護具を液体燃料に変換処理することを提案

Credit: Unsplash/CC0 Public Domain

新型コロナウイルスから医療従事者を守るガウン、サージカルマスク、グローブなどの個人用防護具(PPE)は、一度限りの使用を想定して作られており、使用後には廃棄されるが、新型コロナウイルス感染拡大に伴って、これまでにないほど大量のPPEが廃棄されることになり、環境への影響が懸念されている。

N95マスクやサージカルマスク、使い捨てガウンの原材料であるポリプロピレンはプラスチックの一種だが、一度環境へ廃棄されると常温での自然分解が難しく、微生物が分解するまでに長期間を要するため、大地や海洋を汚染することになる。この問題への対処法として、インドの石油エネルギー大学(UPES)は、廃棄されるPPEを液体燃料に変換処理することを提案している。

Taylor & Francisが発行する電子ジャーナル『Biofuels』で発表された論文によれば、UPESの研究者たちは廃棄PPEの処理方法を検討した結果、PPEを熱処理して液体燃料を生成することが最善の処理方法であると結論付けた。ポリプロピレンは、300~400℃で60分、無酸素状態で加熱すると熱分解し、その結果、生成される液体燃料の性質は化石燃料と同様だとしている。

論文の筆頭著者Sapna Jain博士は「合成燃料の一種であるバイオクルードへの変換は、人や環境への深刻な影響を防ぐだけでなく、エネルギー源にもなる。我々が提案した方法は、PPE廃棄によって引き起こされるであろう問題への対処を示唆するものだ」と述べている。

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Strategy for repurposing of disposed PPE kits by production of biofuel: Pressing priority amidst COVID-19 pandemic

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