壁の赤レンガが電池になる――レンガをスーパーキャパシタに変える技術を開発

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Image: D’Arcy laboratory

セントルイス・ワシントン大学の研究チームが、建築用赤レンガをスーパーキャパシタ型バッテリーに変える技術を考案した。赤レンガ表面にある鉄酸化物から鉄原子ラジカルを生成して、ラジカル重合反応により導電性ポリマーのナノファイバー被覆から構成される、スーパーキャパシタを実現するものだ。赤レンガの構造材料としての堅固な特質を維持しつつ、建築構造部材に組み込まれて非常用照明や各種センサーに電力を供給することができると期待される。LEDに電源を供給するレンガに関する概念実証研究が、2020年8月11日の『Nature Communications』誌に公開されている。

研究チームはこれまで、小型の携帯型エレクトロニクスに電力を供給することを目的として、マイクロスーパーキャパシタを研究している。今回その過程において、壁や建物として大きな空間を占める赤レンガを、バッテリーのように電気を充放電できるスーパーキャパシタ型電力貯蔵ユニットとして利用することにチャレンジした。電気二重層コンデンサであるスーパーキャパシタは、瞬間的に充放電が行えるとともに、小型バッテリーよりも高い電力密度を持ち、充放電サイクル安定性に優れるという利点がある。

研究チームは、赤レンガ内部に多くの空孔が存在し、その表面に鉄酸化物Fe2O3が存在することに注目した。塩酸の蒸気を用いて鉄酸化物Fe2O3から鉄原子ラジカルを生成するとともに、導電性ポリマーPEDOTポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)の蒸気を用いてラジカル重合により、PEDOTのナノファイバーから構成される被覆層を、赤レンガの空孔表面に蒸着させることに成功した。PEDOT被覆層は、マイクロスーパーキャパシタとして機能し、電気を貯蔵し電力を供給できることを明らかにした。発表論文では、LEDに電源を供給できることを実証している。

「この手法は、特注品だけでなく、通常のレンガやリサイクルレンガにも適用できる。実際、論文に用いたのは、ホームセンターで買った1個65セントのレンガだ」と、化学科のJulio D’Arcy助教授は語る。「PEDOTで被覆されたレンガは、非常用照明や各種センサーに電力供給するのに理想的な建築材料である。太陽電池と組み合わせることで、非常用照明に近接した50個のレンガで5時間電力供給できる」という。

また、PEDOT被覆層を用いたマイクロスーパーキャパシタは、瞬間的に再充電が行えるとともに充放電サイクル性にも優れており、1万回充放電を繰り返しても90%の容量を保持できる。赤レンガに対するPEDOT層の被覆は、非常にシンプルなプロセスで実施でき、安価にスケールアップできると、研究チームは期待している。

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Storing energy in red bricks

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