アルミニウム合金同士を連続的に接合できる技術を確立――母材と同等の硬度を接合部で実現 大阪大学

大阪大学は2020年11月26日、同大学接合科学研究所の研究グループが、アルミニウム合金同士を連続的に接合することができる「完全接合」技術を確立したと発表した。発表によると、世界初の成果だという。

アルミニウム合金は比重が鋼の約3分の1と軽く、自動車や鉄道車両、航空機といった輸送用機器での活用が期待されている。一方でアルミニウム合金の接合においては、接合時の温度上昇に伴う接合部の軟化を抑えるのが難しく、材料を溶かさない固相接合を用いても元の素材の70%程度の強度しか得られず、接合部の強度に合わせた構造設計が必須になるという課題があった。

同研究グループは、固相接合法の一つである線形摩擦接合に着目して、接合温度を低下させる方法の検討を進めたところ、被接合材同士を大きな圧力で押し付けることで、被接合界面がより低い温度で変形することを見出した。これを利用することでアルミニウム合金を200℃程度の低温で接合し、母材と全く同じ硬度分を有する接合部を形成することに成功している。

接合部を母材と同等にみなせるため、構造体の設計を単純化でき、アルミニウム合金の特性をそのまま活かした接合構造体の作製が可能となる。さらに同原理は、既に産業で広く用いられている摩擦圧接にも応用できる。

同原理は金属構造体の製造に加えて、部分的な補強技術や補修技術としても活用できる。また、接合により材料特性が劣化する懸念を払拭できるため、材料を切削して除去する従来の製造方法から、必要最小限の材料を後で付加する製造方法(アディティブ・マニュファクチャリング)への転換にも寄与することが期待される。

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