名大、共有結合性有機ナノチューブを2段階で簡便に合成する新手法を開発

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名古屋大学は2016年8月5日、伊丹健一郎教授を中心とする同大学の研究グループが、カーボンナノチューブに似た筒状の構造体「有機ナノチューブ」を簡単な有機化合物からわずか2段階で簡便に合成する手法を開発したと発表した。

有機ナノチューブは、有機分子を基本骨格として筒状に組み合わせることで作られる新タイプの有機ナノ材料。基本骨格の設計次第で半導体特性や導電性、分子認識、分子取り込み能といった機能を付与できるため、機能性材料としての応用が期待されている。

特に、カーボンナノチューブのようにチューブ全体が強固な共有結合でつながっている「共有結合性有機ナノチューブ」は、機械的強度や安定性の増加のほか、光学物性や導電性などの向上が期待できるため注目されている。しかし、共有結合性有機ナノチューブの明確な合成手法はこれまで存在していなかった。

伊丹教授らの研究グループは今回、共有結合性有機ナノチューブを簡便に合成する新規合成手法「helix−to−tube法」を開発した。helix−to−tube法では、らせん高分子を小さな有機分子から合成し、らせん高分子の骨格内で光架橋反応を進行させることで、簡便に共有結合性有機ナノチューブを合成する。

同グループはまず始めに、2つのアセチレン骨格がベンゼン環のメタ位でつながった高分子「ポリメタフェニレンジエチニレン(poly−PDE)」をらせん高分子として設計・合成した。poly-PDEの側鎖には、水素結合によってらせん形成を促すアミド基をはじめ、有機溶媒への溶解性を向上させるオリゴエチレングリコール鎖のほか、キラルらせん形成を誘起する不斉炭素中心を導入。これらの分子設計によりpoly-PDEがクロロホルム中でらせん構造を形成することを、各種分光学的測定法、原子間力顕微鏡、広角X線回折測定などによって確かめた。

次に、らせん状態のpoly-PDEに水銀灯などで光照射すると一挙に架橋共有結合が形成されて共有結合性有機ナノチューブが生成することを突き止めた。この反応は、ジアセチレン分子が結晶固体中で光照射によって起こすトポケミカル重合の一種。今回の報告により、小さな有機分子を「延ばして、巻いて、固める」という極めて直感的で汎用性の高い方法が確立されたという。

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