京セラ、1.0×0.8mmの超小型水晶振動子「CX1008」の製品化に成功

京セラのグループ会社である京セラクリスタルデバイスは2017年3月23日、1.0×0.8mmの超小型水晶振動子「CX1008」の製品化に成功したと発表した。同年5月からサンプル出荷を開始し、2017年度中に量産を開始する予定だ。

近年のスマートフォンやウェアラブル端末などの小型化に伴い、水晶振動子にも小型化が要求されているが、一般的に水晶振動子は小型になるほど直列抵抗などの電気特性が劣化する。1.2×1.0mmから1.0×0.8mmへ小型化した場合、直列抵抗値(CI値)は30%程度高くなる。また、水晶素子の小型化が進むと、従来の加工精度では電気特性のばらつきが大きくなる。

そこで、京セラクリスタルデバイスは今回、同社の圧電解析技術により水晶素子の最適設計を施し、1.2×1.0mmの従来品「CX1210」と同等の電気特性を、1.0×0.8mmの超小型水晶振動子に持たせることに成功。同じく同社の高精度半導体プロセス技術により、水晶素子において高い外形寸法精度を実現し、超小型水晶振動子における直列抵抗値のばらつきの抑制にも成功した。CX1008のCI値は60Ω MAX(37.4MHz)だ。

また、大阪大学の山村和也准教授と共同開発した超高精度加工技術(プラズマCVM技術)により、小型化に伴う周波数のばらつきの低減に成功した。プラズマCVM技術は、プラズマ中の中性ラジカルと加工物表面の化学反応を利用した加工方法であり、水晶の厚みや表面状態などの高精度での制御を可能とする。CX1008の周波数許容偏差は±10ppmで、周波数温度特性は±10ppm(-30℃~+85℃)となる。

これらの技術で生産性の高い工程を構築した結果、CX1210と同様にCX1008でも製品の安定供給が可能となった。京セラは今回構築した技術をベースに、車載向け低周波帯振動子や基地局向け高周波帯振動子、高精度発振器などの製品開発を加速し、第5世代移動通信システムや先進運転支援システム(ADAS)などのIoTの進展を支えるとしている。

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