富士経済は2021年3月16日、汎用エンプラやスーパーエンプラ、機能性樹脂の世界市場の調査結果を発表した。
同調査は2020年9月から12月にかけて行ったもので、汎用エンプラ8品目、スーパーエンプラ21品目、機能性樹脂9品目の市場を対象とした。
数量ベースでの2019年の市場は、米中貿易摩擦の影響や自動車生産台数の減少により縮小した。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響による景気後退のため落ち込むとみられる。
2021年以降は、世界経済の回復やxEV化、自動車電装化の進展による需要増加で拡大していくとみられる。特に車載センサーの筐体やレンズ部分などでの採用増加が期待される。2025年の世界市場は、2019年比13.7%増の1478万5430トンと予測している。
汎用エンプラは、中国が市場全体の約4割を占めた。2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きく、中国での需要は回復傾向となっているものの、多くの国で需要が低迷していることで市場全体が縮小すると予測した。
汎用エンプラと同様、スーパーエンプラも2020年は中国での需要が伸びるものの、他国が伸び悩み市場が縮小すると予測している。
また、機能性樹脂では、コロナ禍の影響により全ての国において2020年に需要が前年を下回ると予測した。
主な素材の2020年の市場規模として、PC(ポリカーボネート)が前年比95.5%、LCP(液晶ポリマー)が同102.5%、PSF・PPSF(ポリサルホン・ポリフェニルサルホン)が同103.3%、COP・COC(環状ポリオレフィン)が同101.6%、PAEK(ポリアリルエーテルケトン)が同93.4%と予測している。
2025年においては、上記の素材の中でCOP・COCの市場規模が最も成長率が高く、対2019年比143.3%の7万2800トンと予測した。光学フィルムや光学レンズ、医療用品向けが増加するとみられるほか、パッケージ向けも今後のモノマテリアル化の進展により増加が期待できるとしている。
また、次いでPAEKの成長率が高く、同125.0%の9500トンと予測した。自動車の電動化や軽量化に伴う採用増加や医療向けの需要が増加し、市場が拡大するとしている。
富士経済は、今回の調査結果の詳細をまとめた『2021年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略』を発刊している。