- 2018-12-17
- 技術ニュース, 電気・電子系
- Eサーモジェンテック, デンマーク工科大学, フレキシブル熱電変換モジュール, 大阪大学, 研究
大阪大学は2018年12月14日、150℃以下の廃熱を回収し発電するフレキシブル熱電変換モジュールを、大阪大学産業科学研究所の菅原徹准教授と菅沼克昭教授、デンマーク工科大学Nong VanNgo准教授らの研究グループが、Eサーモジェンテックと共同で開発したと発表した。
研究グループは今回、半導体の実装デザインと基板や電極材料などを一新することで、フレキシブル性に優れた熱電変換モジュールの作成に成功した。従来の熱電変換モジュールは、上部電極を湾曲面に垂直に配置していたため、湾曲率が制限されていた。だが、研究グループは上部電極と湾曲面を並行に配置することで、モジュールの1軸方向への湾曲率を著しく高めた。
開発された熱電変換モジュールでは、ビスマステルル(Bi-Te)系熱電半導体チップをフレキシブル基板上に高密度に実装した。そのため、基盤を曲げてもチップが熱源(基盤)に密着し続け、熱を効率よく回収する。チップの耐熱性は高く、150℃付近までの排熱回収が期待できる。
また、モジュール作成のために開発した実装技術は、伝統的な半導体モジュールの量産化技術をベースとしている。そのため、熱電半導体チップを広面積へ低コストで実装できる可能性が見込まれる。
発表によると、150℃付近で使用できる熱電発電モジュールの実装技術はこれまでなかったため、150℃付近の熱電発電技術はまだ実用化されていない。室温付近の熱電発電モジュールも、コスト面で実用化のハードルが高かったという。本研究で開発された熱電変換モジュールは、実用化すれば大きな需要が期待できるとしている。