- 2021-6-10
- 化学・素材系, 技術ニュース, 海外ニュース
- Xiulin Ruan, パデュー大学, ヒートアイランド現象, ペンキ, 地球温暖化, 放射冷却効果, 硫酸バリウム
米パデュー大学の研究チームは、太陽光の98.1%を反射し、かつてないほど白いペンキを開発した。見た目が白いだけでなく、放射冷却効果もあるため、建物の壁に塗って表面温度を下げることができる。ヒートアイランド現象や地球温暖化の抑制につながるかもしれない。研究結果は、2021年4月15日付けの『ACS Applied Materials & Interfaces』に掲載されている。
市販のペンキは、反射率は80~90%程度で冷却効果もない。研究チームは、2020年10月にも反射率95.5%で冷却効果のある白色塗料を開発しており、今回はそれを上回る性能を記録した。
研究チームは100種類の材料の中から、化粧品や写真用紙に使われる硫酸バリウムを選択。高濃度の硫酸バリウムを使い、さらにペンキ内の粒子サイズに幅を持たせることで、太陽からの様々な波長の光を散乱させることに成功した。粒子の濃度が高いほど白くはなるが、ペンキが割れたり剥がれたりするので、高濃度にすれば良いというものではないようだ。
塗布テストでは、真昼の強い日差しの下で8℉(13℃)、夜間は華氏19℉(7℃)ほど、表面温度が周りより低くなった。
既存のペンキの製造工程とも互換性がある。このペンキを約1000平方フィート(約93m2)の屋根に塗れば、10kW分の冷却能力が期待できるという。「一般家庭向けのエアコンよりもパワフルだ」と、研究チームを率いるXiulin Ruan教授は語っている。
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