国内M2M市場、2019年度は前年度比4.5%増の2100億円――矢野経済研究所調査

矢野経済研究所は2021年1月7日、国内外のM2M市場の市場規模(事業者売上高ベース)、セグメント別の動向、参入企業動向、注目技術動向、将来展望を発表した。2019年度の国内M2M市場は2100億円で、前年度と比べ4.5%増加している。

調査の対象は、人が介在せずに、主に携帯電話/PHS通信規格に準じた通信モジュールを内蔵した機器・デバイス間で情報のやり取りをするM2M(機器間通信)で、通信キャリア/MVNO、ITベンダー、SIer(システムインテグレーター)、プラットフォームベンダーなど。ネットワークを用いたシステム構築やプラットフォームの利用などの動向を調べた。

2019年度の国内M2M市場規模を見ると、前年度比4.5%増の2100億円となっている。第4四半期は、新型コロナウイルスの影響によって既存案件のペンディングや延期があったが、通年では人手不足対応や遠隔/リモート志向の高まりなどが見られたこともあり、マーケットは拡大基調だった。

さまざまなネットワークが利用されているIoT(モノのインターネット)は現状、モバイル回線としては4G/LTE(Long Term Evolution)、3Gネットワークを利用するケースが多い。産業向けIoTの本格実装に合わせ、2020年度以降は高速、大容量、低遅延、多接続などの機能に大きな強みを持つ5G(第5世代移動体通信サービス)対応機器やデバイスなども含めた5GベースのIoTソリューション導入が徐々に始まってくる。

2025年度以降には、新規導入するIoTソリューションはモバイル5G型IoTやローカル5G型IoTを選択するケースも少なくないと考えられる。これには、既存の通信ネットワークとの間での極端なコストの違い、信頼性、対応機器/デバイス数が少ないといった問題が生じないことが条件となる。

2030年を睨んだ将来展望では、産業分野での「IoT×5G」活用が拡大すると考えられる。5G型IoTは、ローカル5Gと、より広域をカバーするモバイル5GをベースとしたIoTソリューションが並行して導入されていく見通しだ。

2020年度のM2M市場規模は、前年度比1.0%増の2120億円となる見込み。2020年度下期に入ると、遠隔/リモート志向の継続、適用領域の拡大などの影響もあり、新規受注が戻ってプラス成長を維持する見通しだ。同様な市場環境が2021年度以降も続き、拡大基調は継続することが予測される。

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