求むIT技術者――フィンランドが90日間無料のお試し移住プランを用意

フィンランドと聞いて何を思い浮かべるだろうか。オーロラをはじめとする豊かな自然、無償かつ充実した教育や医療制度、世界幸福度ランキング1位、など枚挙にいとまがない。実は、NokiaやLinuxを生み出したIT先進国でもあり、現在もIT人材を必要としている。

働き方が多様化する中、フィンランドのHelsinki Business Hub(HBH)は2020年11月4日、優秀なIT人材を獲得するために、首都ヘルシンキへの90日間お試し移住プラン「90 Day Finn」を発表した。ゴールデンビザのように滞在のための投資や不動産購入は不要で、家族全員がフィンランドの生活や仕事の様子を体験できるパッケージプランだ。

応募資格に国籍の規定はないが、HBHはアメリカ西海岸、つまりシリコンバレーやハイテク産業で働くIT技術者をターゲットにしているようだ。IT業界で顔の広い人も優先されるという。ヘルシンキ移住後も現在のポストはそのままでよく、本国の仕事をリモートでこなせる人か、起業している人を選考対象にしている。

選考を通過した場合は、HBHが空港でのピックアップをはじめ、入国や滞在に必要な書類、住居、コワーキングスペース、家族のための学校や託児所の手配など、参加者それぞれに合ったサービスを提供する。ヘルシンキのテクノロジーハブやビジネスネットワークとつながる機会も設けられる。さらに、滞在中はサウナなどフィンランドを代表する文化や自然を無料で体験することもできる。ただし、渡航費用や滞在中の生活費などは本人負担となる。

HBHとしては、このプランを契機に参加者へフィンランドへの定住を促したい考えのようで、お試し移住後の長期滞在や永住権の申請にも対応する。実際にシリコンバレーからフィンランドに家族で移住した技術者は、「フィンランドに来てから、ワークライフバランスが向上したと感じる。治安も良いので、子供たちも一人で学校へ行ったりバスに乗ったりできることを喜んでいる」と語り、充実した教育、自然、インフラに満足しているようだ。

残念ながら90 Day Finnの募集は2020年12月10日で終了してしまったが、日本国内でもお試し移住ができる自治体がある。それぞれの働き方にあった形を探してみるのもいいだろう。

関連リンク

90 Day Finn’ Program Invites U.S. Tech Professionals to Experience Finland’s Unique Work-Life Balance
90-Day Finn: terms and conditions

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