酸素の電子を使ってもエネルギー損失のない電極材料を発見 東京大学

東京大学は2021年1月28日、同大学大学院工学系研究科の研究グループが、電池の電極材料が持つ酸素の電子を使っても、熱としてエネルギーを失うことなく電気エネルギーを蓄えられる電極材料を発見したと発表した。開発した電極材料は、酸素原子が結合を作らず、蓄えた電力エネルギーをそのまま利用できるという。

持続可能なカーボンニュートラル社会を構築するためには、太陽光や風力といった自然エネルギーから生まれる不安定な電気エネルギーを蓄え、必要に応じて安定して供給できる電池の開発が望まれる。しかし、現在使用されている電池が蓄えられる電気エネルギーは限られている。

そのため、電池の中で電気エネルギーを蓄える機能を果たす電極材料である遷移金属酸化物の高容量化が必要となる。長年、遷移金属酸化物に含まれる酸素の電子を電力貯蔵に利用する試みが行われてきたが、蓄えた電気エネルギーを熱エネルギーとして大幅に失うため電力貯蔵の効率が低く、その実用化は困難だった。

そこで研究グループは、エネルギー損失のない高容量電池の開発を進め、酸素の電子を使っても熱としてエネルギーを失うことなく電気エネルギーを蓄えることができる電極材料をNa2Mn3O7を見出した。

電気エネルギーの損失が起きない原因を調べるため、磁気測定によって酸素の電子状態を調べたところ、酸素原子の電子が放出された状態(リガンドホール)が安定に存在していることが分かったという。

通常の電極材料は酸素原子の電子が放出されると、構造が不安定化して酸素原子同士が結合を作る。この安定化により、熱エネルギーを放出してエネルギー損失が生じていた。しかし、Na2Mn3O7は酸素の電子が放出された状態が安定して存在するため、エネルギーの損失なく電気エネルギーを貯蔵できるという。

第一原理計算により電子状態を調べると、電子を放出した酸素の2p軌道がMnの3d軌道と強く相互作用し、酸素の電子が放出された状態を安定化していることが分かったという。

左:第一原理計算から得られた状態密度、右:フェルミ準位直上の軌道

今回開発した電極材料は、酸素原子が結合を作らず、そのまま蓄えた電力エネルギーを利用できる。研究グループは、この電極材料を使用することでエネルギー損失を起こさずに電池を高容量化できるとしている。

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