塩ベースの疑似固体電解質を使う新型バッテリーを開発――電気と太陽熱を蓄える

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ノッティンガム大学は、塩をベースとした新しいタイプのバッテリーを開発した。新しいバッテリーは、酸化物形燃料電池と金属空気電池の性能を兼ね備えており、完全にリサイクル可能で、環境に優しく、低コストで安全ながら、電気自動車の航続距離を大幅に伸ばす可能性がある。この研究は中国の6つの研究所と共同でおこなったもので、研究成果は『Energy Storage Materials』誌の2021年3月号に公開されている。

多くの電気自動車は、充電式リチウムイオン電池を搭載しているが、経年劣化や、特定条件下での過熱による劣化という問題がある。

金属空気電池は、鉄などの安価な金属と空気中の酸素を利用して発電し、充電時は大気中に酸素だけを放出する。安全で安価なうえリチウムイオン電池と同等の充放電ができるが、耐久性は高くない。一方、水素と酸素を電気に変換する固体酸化物形燃料電池は、エネルギー効率が高く、耐久性に優れ、低コストで環境に優しいが、充電はできない。

研究チームは、リチウムイオン電池に変わる新しい電池の開発として、初めに、熱によって活性化された溶融塩を使う高温の鉄空気電池の設計を試みた。安価で引火性のある溶融塩により、エネルギー貯蔵、電気供給能、長いライフサイクルが可能になった。しかし、同時に溶融塩には、非常に高い温度では腐食性や揮発性が生じるという特徴があり、蒸発やリークという安全性、安定性の面での課題が生じた。

そこで今回、固体酸化物ナノ粉末を用いて溶融塩を擬似固体塩にする技術を開発し、電解質の改良に成功した。擬似固体電解質(QSS:quasi-solid-state electrolyte)は、高温での溶融塩の蒸発や流動性を抑えることで安全性が高まったため、ガソリンやディーゼルエンジンの排気ガスとほぼ同じ温度の800℃で動作する金属空気電池に適しているという。

擬似固体塩は、Na2CO3-K2CO3と固体酸化物であるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)ナノ粒子を等量で混合した溶融共晶混合物から作製した。固体酸化物ナノ粒子が柔軟に連結したネットワークを構築し、溶融塩電解質を閉じ込めて構造的バリアとして働くおかげで、高温でも安全に通電できる。

溶融塩は電気だけでなく太陽熱も蓄えることができるユニークな特徴を持っており、現在スペインや中国では大規模な太陽熱発電と電気エネルギー貯蔵に使用されている。開発したバッテリーも原理的には、電気と太陽熱の両方を蓄えることができるため、家庭や産業界における革新的な蓄電ソリューションに貢献する可能性があると研究チームは述べている。

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