米国防総省、極超音速兵器開発戦略の概略を発表

極超音速システムとは、マッハ5(音速の5倍)以上の速度で、高度8万~20万フィート(約24〜61km)の成層圏~中間圏内を長時間飛行でき、防御側が予測するのが難しい方法で操縦できるというものだ。この開発戦略には、ロシアと中国が有能な独自システムを開発しているという背景がある。

今回、DODは、極超音速機を最優先で近代化すべき分野の1つであると位置づけた。DOD研究・技術担当国防次官室(OUSD R&E)の極超音速機担当主任ディレクターであるMike White氏は、2021年2月24日~2月26日にオンラインで開催された空軍協会の「Aerospace Warfare Symposium」で、変革的な戦闘能力の開発と提供を加速させる極超音速近代化戦略について述べた。

この戦略は3つの項目で構成されている。1つ目は、戦術的戦場において海上、沿岸、内陸にある極めて重要な標的を、長距離かつスピード重視で打破しながら残存可能性が高い極超音速攻撃兵器を開発すること。この兵器は従来の方法で装備され、空中、陸上、海上から発射される。2つ目は、敵の戦術的極超音速攻撃ミサイル能力を包括的かつ多層的に打破すること。最後の3つ目は、再利用可能な極超音速システムを諜報活動、監視、偵察、攻撃に活用するとともに、宇宙へ迅速にアクセスする2段式ロケットの第1段としても活用することだ。

この戦略は4つの実施段階に分かれており、第1段階は技術開発とコンセプト実証、第2段階は兵器システムのコンセプトプロトタイプの開発と実証、続く第3段階は兵器システムプロトタイプの機能を迅速に実戦配備すること、そして、第4段階は調達プログラムと機能を段階的に実施する計画の作成となっている。

極超音速戦略は、軍隊や軍事機関の間で高度に組織化された一連のプログラムで実施されており、産業基盤や有機的な研究所に対して極めて重要かつ実施可能にする投資を行うとともに、必要に応じて同盟国とも協力して取り組んでいる。

White氏によると、2020年代前半から2020年代半ばには戦闘員に攻撃能力を配備し、2020年代後半には多層極超音速防衛能力を提供する予定だ。再利用可能なシステムについては、2030年代前半から2030年代半ばまでに提供することを目標としている。

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Defense Officials Outline Hypersonics Development Strategy

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