- 2021-4-7
- 技術ニュース, 機械系, 海外ニュース
- Brink Bionics, electro-mechanical delay(EMD), Impulse, ニューラルインターフェース, 機械学習アルゴリズム, 電気信号
カナダのBrink Bionicsが、脳から命令を出してマウスをクリックするまでの反応速度を最大80ミリ秒短縮するように設計した世界初のゲーム用ニューラルインターフェース「Impulse」を開発した。マウスをクリックする際に脳が手の筋肉に送る電気信号を読み取り、指の筋肉が完全に収縮する前に直接PCにコマンドを送ることで、脳からゲーム上で反応するまでの回路を短縮するという。
Impulseは、カナダのウォータールー大学出身のニューラルインターフェースやバイオニック義肢の研究者らが開発した指なしグローブタイプの装具で、マウスをクリックしようとする意図を認識し、思考のスピードで反応できるようにするゲーム用周辺機器だ。脳内でマウスをクリックしようと考えてから実際にマウスを物理的にクリックするまでの時間差を「electro-mechanical delay(EMD)」と呼ぶが、このEMDを減らすことで、ゲームでのプレイ感がより素早く感じられるようになるようだ。
Impulseには独自の機械学習アルゴリズムを搭載。使用者の手の筋肉に伝わる生体信号を内蔵センサーで読み取り、マウスをクリックしようとする意図を、筋肉の収縮で指が動くよりも先に検知して予測し学習することで、EMDを減少させる仕組みだという。生体信号と指の動きをImpulseに学習させるソフトウェアも提供され、初めて使用する際にはトレーニングをする必要がある。このトレーニングをすることで、より正確に使用者の生体信号を予測できるようになるという。
Impulseは2021年5月から先行予約受付分を出荷する予定で、希望小売価格は215カナダドル(約1万9000円)だ。重さは約43gで、サイズ展開はS/M/L/XLの4種類。右利き用だけでなく左利き用のグローブも用意されている。現在はPCと接続するUSBケーブルが付いているが、コードレスにする可能性も探っていると開発者は語っている。