数学理論を用いて「友情のパラドックス」を詳しく解析――ソーシャルメディア上では成功や社会的地位に対してゆがんだ見方が生じることに注意

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「あなたの友人にはおそらくあなたより多くの友人がいる」という「友情のパラドックス(フレンドシップ・パラドックス)」について数学理論を構築し、その理論に基づく予測と実社会のネットワークデータセットでの測定結果とを比較した研究結果が発表された。これはサンタフェ研究所とミシガン大学によるもので、2021年5月27日付で『Journal of Complex Networks』に掲載された。

「友情のパラドックス」とは、任意のネットワーク内に存在するあるノードの隣接ノードの次数は、平均するとそのノード自体の次数よりも大きくなるという観察結果のことだ。ノードは結節点、次数とはノードから出ている線(リンク)の数を意味する。これを一般的な表現に置き換えると、あなた(=ノード)の友人(=隣接ノード)にはあなたより多くの友人がいる(=ノードから出ている線の数が多い=次数が大きい)、ということになる。さらに、このような効果は、あなたの友人があなたより人気があるというだけでなく、あなたより裕福で魅力的であるかもしれないということを意味する。

このような友情のパラドックスは、ネットワーク科学者らによって30年前から研究されてきた。友情のパラドックスの標準的な枠組みは、基本的には平均値に関するものだが、人々の間には多くの異質性があり、大幅な変動も発生する。例えば、平均的な結果が、少数の外れ値によってゆがめられている可能性はないだろうか。

この研究では、友情のパラドックスの数学理論を構築することで、この問題に取り組んだ。まず、より完全な全体像を把握するために、単純な平均値だけでなく、人々がどのように自分を友人と比較しているかを表す完全な分布を調べた。

そして、現実世界のデータに数学を応用すると、わずかに微妙な差異を表す全体像が明らかになることを研究者らは発見した。例えば、人気のある人同士はお互いに友達になりやすく、人気のない人は人気のない人と友達になりやすいことが分かった。友達が1人か2人しかいない人もいれば、何百人も友達がいる人もいるということだ。このことは友情のパラドックスの効果を誇張する傾向がある。他にも効果が存在するのは確かだが、ソーシャルネットワーク内の変動の約95%は、この2つだけで説明できる。

以上のことから、周囲の人を見ていて感じる、成功や社会的地位に関する印象について、私たちはゆがんだ見方をしているので、注意すべきだという。オフラインの実社会では自分と似たような人たちと一緒にいる傾向にあるため、この偏りは部分的に緩和される。しかし、オンラインのソーシャルメディアでは、フォローできる人数は実質ほぼ無制限といってもよく、自分に似ている人たちだけを見なければいけない理由もないため、その結果、この友情のパラドックスの効果が増大する可能性があるのだ。

関連リンク

Applying mathematics takes ‘friendship paradox’ beyond averages
The friendship paradox in real and model networks

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