- 2021-7-11
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- Computers in Human Behavior, Vivien (Wen Li) Anthony, インタラクティブ技術, インターネット, オンライン学習, ゲーム, コロナ禍, スマートフォン, ソーシャルメディア, タブレット, ラトガース大学, 中国人民大学, 中国教育パネル調査データ
空き時間についつい見てしまうスマートフォンやタブレット。学齢期の子どもの場合、学校の授業に支障のない範囲で動画視聴やゲームをするなら、1日何時間くらいが適当だろうか。
米ラトガース大学と中国人民大学の研究者らは、初級中学校(日本の中学校相当)1年生を対象に、娯楽性の高いインタラクティブ技術の使用量と学校での成績や態度の関係性について分析した。それによると、学業とは関連のないインターネット、ソーシャルメディア、ゲームの利用は、学校のある日は1日1時間、週末は1日4時間までというのが、妥当のようだ。
インタラクティブ技術は、子供の教育的な手段や成果を促進するために広く使われている。特に、コロナ禍において、そうした技術はリモート学習を促進するために欠かせないものになっていった。それと同時に、娯楽目的の過度な利用は、子供の教育的成長へ悪影響を及ぼすかもしれないという懸念も高まっている。
研究チームは、中国国内の子供たちの教育的ニーズと結果に関する全国調査「中国教育パネル調査データ」から、9949人の中学1年生(そのうち女子は48%)のデータを分析した。平均年齢は13.5歳だった。
その結果、学校がある日に1時間以上、週末に1日4時間以上を、娯楽性の高いインターネット、ソーシャルメディア、ゲームに費やす子供たちは、1年後に、国語、数学、英語などのテストの成績が下がっていた。また、学習意欲が低く、授業中の集中力が欠け、学校を退屈だと感じ、不登校気味という傾向も見られた。毎日4時間以上をネットなどに費やす子どもたちは、そうでない子よりも4倍、不登校のリスクが高くなることも分かった。
一方で、インタラクティブ技術は、仲間とつながり、関係性を構築するといったポジティブな側面も持つ。適度に(週末に1日1時間以内)ネットなどを利用する子どもたちは、学校を退屈だとあまり思わず、認知発達も強化されていた。
データ分析に関わったVivien (Wen Li) Anthony助教授は「世界中の国々でオンライン学習の導入が進んでいることを考えると、今回の結果は非常に重要だ」と語る。しかし、「インターネットを統合した学習環境では、学習中の子どもが大人や教師に何も言わずに、教育的プラットフォームと娯楽的プラットフォームを簡単に行き来できる」と指摘する。保護者や教師は、子どもがインタラクティブ技術を利用する時間に制限を設けると共に、そうした技術に依存しないよう、効果的な時間管理と自己管理のスキルを磨くための手助けをするべきだとしている。
研究結果は、2021年9月の『Computers in Human Behavior』に掲載されている。