新開発のゲートウェイ用SoCとPMICを組み合わせた車載ゲートウェイソリューションを発表 ルネサス

ルネサスエレクトロニクスは2021年10月6日、次世代車載中央コンピューター向けに、新たなゲートウェイ用SoC(System on Chip)「R-Car S4」とパワーマネジメントIC(PMIC)を開発し、これらを組み合わせた車載ゲートウェイソリューションを発表した。両製品は、サンプル出荷を開始している。

新たなソリューションは、ドメインアーキテクチャやゾーンアーキテクチャへ進化するに伴って求められる高い要件に車両のE/E(電気/電子)アーキテクチャが応え、高性能かつ、複数の多様な高速ネットワークに対応する。高いセキュリティ機能と高い機能安全レベルを備えているという。

第4世代のR-CarファミリーとなるR-Car S4は、既存のソフトウェアの再利用性を重視して設計。シームレスに動作するPMICと合わせて使用することで開発効率を向上する。

また、1.2GHz Cortex A55コア×8、1.0GHz Cortex R52コア(ロックステップ)×1、400MHz RH850 G4MHコア(ロックステップ)×2、車載制御をサポートするためにR-Carとして初めてRH850マイコンのCPUコアを内蔵。最大2万7000DMIPSのアプリケーション処理性能と最大5300DMIPSのリアルタイム性能を持つ。

CAN FD×16、LIN×16、SENT×8、FlexRay×1、PCIe V4.0×4、2.5Gbpsなどの豊富な通信インターフェースも搭載。2.5Gbps帯域幅のイーサネットTSNスイッチを3ポート搭載し、車両内や外部との高速かつ低遅延の通信ができる。また、8MB SRAMを内蔵。RH850 G4MHコアのコードを低遅延で実行できるという。

第3世代のR-CarやRH850用に開発されたソフトウェアは、最大88%再利用できる。各種ドライバーやLinux BSP(Board Support Package)、ハイパーバイザなどの基本ソフトウェアを含むソフトウェアパッケージも提供し、リアルタイムコアを含むR-Car S4用ソフトウェア開発をサポートする。

パートナー企業が提供する仮想プラットフォーム(VPF)の利用により、早期のソフトウェア開発と評価ができ、設計期間の短縮やコストの削減ができる。ISO-26262に準拠し、機能安全レベルASIL BとASIL Dをサポート。パッケージは、23×23mmのFCBGA(R-Car S4)と、19×19mmのFCBGA(R-Car S4N)を用意する。

一方、R-Car用の新しいPMICは、超低消費電力動作に対応する「RAA271041」「RAA2710005」を用意。プログラムできるため、R-Car S4だけでなく今後のR-Carにも容易に対応するという。また、ISO-26262に準拠し、機能安全レベルASIL Dまでのシステム安全要件をサポートする。外部信号の監視ができ、外付けのADCを不要としている。スペクトラム拡散クロックの採用により、EMIを低減する。

プリレギュレータのPMICであるRAA271041は、車両バッテリーの12V電源入力に対応。降圧と昇圧の2つの42V同期コントローラを搭載し、ロードダンプやコールドクランキングパルスといった入力電圧変動時も出力を保持するという。

RAA271005は、RAA271041の出力を受けて、R-Car S4と、LPDDR4xメモリなどの周辺機器が必要とする電源電圧に降圧し、最大で11チャネルを出力する。これらのPMICにより、車両のバッテリーからR-Carまで信頼性の高いパワーソリューションを提供する。

同社によれば、いくつかの世界的なOEMメーカーは、このソリューションを使った次世代システムの設計を始めているという。

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