- 2021-11-22
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- 2足ロボット, DNN(ディープニューラルネットワーク), LEONARDO(LEgs ONboARD drOne), Science Robotics, アクチュエーター, カリフォルニア工科大学, スケートボード, スラスター, スラックライン, ドローン着地制御アルゴリズム, プロペラ, 学術
カリフォルニア工科大学の研究チームは、脚に関節、肩にプロペラを備え、歩行と飛行を組み合わせた動きをする2足ロボット「LEONARDO(LEgs ONboARD drOne)」を開発した。歩いたり飛び上がったりするだけでなく、スラックラインやスケートボードもできる。飛行ロボットや空飛ぶ車の適応型着陸装置システムとしても応用できる。研究結果は、2021年10月6日付けの『Science Robotics』に掲載されている。
従来の2足ロボットは、人間と同じような動きで跳んだり走ったりできるが、一般的に起伏の多い地形は苦手だ。飛行ロボットは地形による制限を避けられるが、飛行中は多くのエネルギーを消費し、積載量にも限りがある。研究チームは、両者の運動機構を組み合わせ、多関節の脚とプロペラベースのスラスターを利用して、上手にバランスを取りながら効率的に移動できるロボットを開発した。ヒントとなったのは、電線をぴょんぴょんと跳ねながら移動する鳥の動きだという。
LEONARDOの重量は2.58kgで、歩行時の全高は75cm。両脚にはアクチュエーター付きの関節を3つずつ、両肩には斜めに取り付けたプロペラを2つずつ備える。飛行時は、プロペラだけを使ってドローンのように移動し、歩行時は、脚のアクチュエーターに加えてプロペラも利用して姿勢を保つ。脚が重量の大半を支えることでスラスターの負荷を軽減し、スラスターは脚関節と同期して重心を調整するように動くので、バランス感覚が非常に良いという。
歩行と飛行、両方の長所を持ち、状況に応じて動きを切り替えるだけでなく、ハイブリッド的な動きもできる。通路は歩き、階段は上から一気に飛び降りたり、スラックラインやスケートボードなど、人間でも簡単にはできない動作も実演している。歩行速度は公称値で秒速20cmだが、短距離の飛行を組み合わせればさらに対地速度を上げられるという。
現在はまだ、歩行時のバランスをプロペラに依るところが大きいため、エネルギー効率が悪いと研究チームは考えている。今後は、プロペラの補助を最小限にするなど脚部分を改良する予定だ。さらに、2019年に開発したDNN(ディープニューラルネットワーク)ベースのドローン着地制御アルゴリズムを搭載して、ロボット自身が周囲の状況を認識し、安全かつ効率的に移動できるように動作を決定できるようにするという。
この技術を応用すれば、飛行ロボットや空飛ぶ車が、傾斜地や起伏のある場所でも安全に着陸するためのシステムを開発できる。将来的には地球上だけでなく、火星探査機の着陸装置にも展開可能だとしている。