- 2018-12-9
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- Bi系合金, ヒートサイクル試験, 広島大学, 標準鉛フリーはんだ, 研究, 電子パラメータΔMk, 高温系鉛フリーBi系はんだ材料
広島大学は2018年11月28日、融点が270℃以上で機械特性に優れた高温系鉛フリーBi系はんだ材料を開発したと発表した。
高温特性が要求される車載機器や産業用機器に対応するため、より高融点のはんだ材料が求められている。しかし、人体に有害な鉛を用いない標準鉛フリーはんだでは、Sn3.0AgCuの融点である217℃が最も高温だった。
一方、研究グループは2011年、合金の強度特性と相関がある電子パラメータΔMkを用いた合金設計を開始。2013年には、Bi系合金が優れた伸び特性を有することを発見していた。
そして今回、Bi系合金への添加金属を絞り込み、融点が270℃以上と現行品の60℃以上高い、高温系鉛フリーBiはんだ材料の開発に成功した。また、温度変化を製品に負荷するヒートサイクル試験を、LED実機部品基板にて実施。現行のはんだでは、150サイクルでクラックが発生するのに対して、同はんだ材料を用いた場合、300サイクルでもクラックが発生しないことを確認した。さらに、アンチモンなどの有害な金属を含まず、環境や人体に優しい材料だという。
今後の展開として、SiC半導体や車載LEDデバイス、ワイヤレス給電デバイス、自動車エンジンルーム周辺デバイス等への応用が期待されるという。