1m角人工光合成セルで世界最高の太陽光変換効率10.5%を達成 豊田中央研究所

1m角の電極と人工光合成反応の様子(泡は発生した酸素)

豊田中央研究所は2021年12月8日、太陽光エネルギーを利用して水とCO2のみから有用な物質を直接合成する人工光合成を1m角のセルで実証し、このクラスで世界最高となる太陽光変換効率10.5%を達成したと発表した。太陽光と水とCO2のみで有機物(ギ酸)を合成できる。

同社の人工光合成システム「MORLIE」は、半導体と分子触媒を用いた方式で、水の酸化反応とCO2の還元反応をする電極を組み合わせ、常温常圧で有機物を合成するクリーンな技術となる。2021年4月に36cm角サイズのセルで、植物を大きく上回る太陽光変換効率となる7.2%(このクラスでは当時の世界最高)を達成している。

人工光合成の反応のしくみ

社会実装には、人工光合成セルの太陽光変換効率を低下させずに、さらに大型化することが求められるが、技術的に困難だった。そこで、基本原理はそのままに改良。太陽光で生成した多量の電子を余すことなく使用し、効率的にギ酸合成ができるようにした。

改良により、電気抵抗が低いチタン基板を採用。電極全面に太陽電池で生成した電子を行き渡らせている。また、ギ酸合成に必要な水素イオンを通し、ギ酸合成を妨げる酸素を通さない多孔質セパレータを採用。酸化と還元電極の間に設置した。

改良の結果、1m角のセルで、このクラスでは世界最高となる変換効率10.5%を達成。今後、工場等から排出されるCO2を回収し、この人工光合成で再び資源化するシステムの実現を目指す。

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