太陽光と二酸化炭素を用いた生分解性プラスチックの原料合成に成功――収率は約80% 大阪公立大学

大阪公立大学は2022年9月27日、同大学人工光合成研究センターの研究チームが、太陽光と二酸化炭素を用いた生分解性プラスチックの原料合成に成功したと発表した。アセトンからの収率は約80%となっている。

自然に分解される生分解性プラスチックは、環境保護の観点から近年注目を集めている。

生分解性プラスチックの合成には、微生物を直接用いる方法などがある。一方で、再生可能エネルギーの太陽光と地球温暖化の原因となる二酸化炭素を用いた人工光合成技術により生分解性プラスチックを合成できれば、二酸化炭素を削減しながら生分解性プラスチックを合成することが可能となる。

特にポリヒドロキシ酪酸(PHB)は、水に不溶かつ強度のあるポリエステルとして包装材などに用いられており、生分解性プラスチックの中でも注目度が高い。二酸化炭素からPHBの原料となる3-ヒドロキシ酪酸を合成できれば、プラスチック問題の解決と脱炭素化の双方に寄与することが可能となる。

同研究チームは今回、アセトンカルボキシラーゼ(AC)および3-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素(HBDH)の酵素2種を光合成細菌中に発現させて抽出した。その後、色素と触媒で構成した光酸化還元系にこれらを加えた。

二酸化炭素とアセトンを結合させて、ACの働きでアセト酢酸を生成し、HBDHの働きでアセト酢酸を3-ヒドロキシ酪酸に変換した。アセトンからの収率は約80%に達しており、高効率で3-ヒドロキシ酪酸を合成できることが判明した。

同研究チームは今後、工場などの排ガスに含まれる二酸化炭素を用いた人工光合成による3-ヒドロキシ酪酸生成を目指す。

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