デクセリアルズは2022年1月26日、同社従来品に比べ、摺動耐久性を40倍以上に向上した反射防止フィルム「HDシリーズ」を製品化し、出荷を開始したと発表した。真空蒸着法で最表面の防汚層を形成し、最表面の耐久性を40倍以上に高めている。
HDシリーズは、防汚材を気化させ、基材である反射防止層に直接付着させる真空蒸着法を採用。反射防止層側に防汚材の反応基が向き、かつ均一に配列し、緻密で強固に結合している。溶媒に溶かした防汚材を塗布し、溶媒をヒーターの乾燥で揮発させて防汚層を作るウェットコーティング法を用いていた従来の製品と比べ、より高耐久、低摩擦で滑りのよい防汚層を形成できる。
最表面の防汚層の摺動耐久性は40倍以上に向上。初期の水接触角は120度となっている。不織布ワイパーを用いた摺動性試験では、摺動回数が2万回以上を超えても水接触角110度以上を維持した。高い摺動耐久性を持つため、タッチパネルを搭載したノートPCや、タブレット形状にもなる2in1タイプの機器、車載ディスプレイなどに適している。
真空蒸着装置を既存の製造設備に導入し、量産を開始している。2023年4月には新しい製造装置が稼働を開始する予定で、反射防止層と防汚層を一貫して高効率に成膜できる。HDシリーズは複数のノートPCメーカーでの採用が決まり、出荷を開始している。