重さ1g以下――MIT、低電圧で動作する昆虫型飛行ロボットを開発

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Credits:Courtesy of the researchers

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、低電圧で動作し、耐久性の高いソフトアクチュエーターを備えた小型の飛行ロボットを開発した。昆虫のような敏捷性と弾力性を備え、農地の受粉作業や狭い場所の捜索活動への活用が期待できる。研究結果は、2021年11月28日付けの『Advanced Materials』に掲載されている。

マイクロロボットの駆動に利用されるソフトアクチュエーターは、一般のハードアクチュエーターと比べて高い電圧を必要とするものが多い。Kevin Chen助教授率いる研究チームが2021年2月に発表した小型ロボットのソフトアクチュエーターも、2000Vの動作電圧を必要とし、どれだけ電圧を下げられるかが次の課題となっていた。

今回、研究チームは、アクチュエーターの構成と使用するエラストマーの製造工程を見直し、旧バージョンから動作電圧を75%下げると同時に、ペイロードを80%増やすことに成功した。

開発した小型ロボットは長方形のボディに円筒状のソフトアクチュエーターと4枚の羽を備えている。アクチュエーターは電極で挟んだエラストマーを端からくるくると巻いたものだ。アクチュエーターに電圧を印加すると、電極がエラストマーを押しつぶし、機械的にひずんでロボットを羽ばたかせる。アクチュエーターの表面積を広くするほど、印加電圧を下げられるため、研究チームは、エラストマーと電極をできるだけ薄くしつつ、多層化することにした。

最終的に10μmのアクチュエーター層を20層重ねることができたが、完成までには何点か製造工程の見直しを迫られた。まず、エラストマー膜をスピンコートで作る際、内部に生じる微小気泡を取り除くため、スピンコート直後、膜を乾燥させる前に真空工程を追加し、気泡を除去した。この工程により、アクチュエーターの出力が300%以上増し、寿命も大幅に伸びると、Chen助教授は説明する。さらに、電極や硬化プロセスも最適化した。

この結果、ロボットは500Vでホバリングし、自重の約3倍の荷物を運べることを実証した。ホバリング時間は20秒と、1g以下の飛行ロボットの中では最長記録で、位置も安定していた。また、200万回作動した後もスムーズな動作を示し、以前の6層バージョンや、剛性タイプの最新アクチュエーターの性能を上回るものだった。

今後は、クリーンルームや他のナノファブリケーション技術を活用してアクチュエーター層を1μmまで薄くし、昆虫サイズのロボットの用途を拡大したいとしている。

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