リチウムイオン電池リサイクルの課題と今後の取り組みについての総説を発表

  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

独ミュンスター大学を中心とする研究チームが、リチウムイオン電池リサイクルの発展についての総説を発表した。2022年1月10日付で『Advanced Energy Materials』に掲載されたこの総説では、電池リサイクルのための新しい材料コンセプトの課題、持続可能な電池経済の有望なアプローチとしての「リサイクルのための設計」、そしてアメリカ、欧州連合(EU)、中国におけるリサイクル法規制や新しい電池についての指令の必要性について概要が示されている。

電池の循環型バリューチェーンには、環境保護や経済面において非常に大きな可能性がある。再生材料を使用することで、原材料のコストを削減できるだけでなく、電池生産で必要となるエネルギーの節約も可能になる。そのため、リチウムイオン電池のリサイクル技術向上について取り組みが続いているが、現在のところ成熟しているとは言い難い状況だ。そこで、現在の状況を分析し、改善して、将来の電池化学や電池部品に適応させる必要がある。

今回の総説では、電池材料と化学組成に関して将来の電池リサイクルの課題に関連する予測を示し、電池リサイクルへの将来の取り組みについて考察している。

材料に関する課題については、活物質として複数の材料の混合物が使用されていることが多いため、リサイクル効率を高くしたり異なる原材料の純度を高めたりすることが難しくなっていることが挙げられている。さらに、リン酸鉄リチウム(LFP)などの一部の活物質は、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(NCM)に比べて本来の材料価値が低い。そのため、このような材料をリサイクルする際の収益性は低くなる。

研究チームは、既存の課題や新規の課題を克服するためのアプローチの1つとして、「リサイクルのための設計」というコンセプトがあるとしている。これは、モジュールやセルとの間のねじ接続や結合を標準化し、セル分離のオートメーション化を容易にすることを目的としている。さらに、このアプローチは材料の設計も含んでいる。例えば、リサイクルの際に有害となる可能性がある高価な溶剤を削減するために、電極材料用に水系バインダーシステムが開発されようとしている。

もう1つの可能性は、直接リサイクルだ。このプロセスでは、主にカソードに使われている活物質を、使用後に再リチウム化して復活させ、新しい電池の中に直接組み入れる。この際、材料の完全な再合成は必要ない。

以上で挙げた工程やその他の工程は、世界の一部地域では電池のリサイクルに関する法律で定められている。EUと中国では、「拡大生産者責任(EPR)」に従って、電池の生産者が財政的にも物理的にも電池のリサイクルに対して責任を負う。また、使用済み電池の回収率、材料の回収目標、表示基準についての規制もある。

一方、アメリカでは、特にニッケルカドミウム電池と鉛蓄電池のリサイクルに重点が置かれており、リチウムイオン電池のリサイクルを含む包括的な要件は、今のところ4つの州でのみ効力がある状況だ。

関連リンク

Recycling Already Considered in the Development of New Battery Materials
Recycling of Lithium-Ion Batteries—Current State of the Art, Circular Economy, and Next Generation Recycling

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る