DARPA、人工衛星網による地球低軌道「インターネット」構築へ

2022年8月10日、アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)は、ほとんどの光衛星間リンク規格に対応し、低コストで再構成可能な光通信ターミナルを開発することを目的としたプログラム、「Space-Based Adaptive Communications Node(Space-BACN)」のフェーズ1に11チームを選定したことを発表した。

Space-BACNは、地球低軌道(LEO)衛星の「インターネット」を構築し、現在は互いに交信できない軍事用や官営の衛星コンステレーションと、商用や民生用の衛星コンステレーションとのシームレスな通信を可能にする。

今回の11チームは大企業や中小企業、学界から選定されており、中には国防総省と初めて契約するところもある。DARPA戦略技術室のSpace-BACNプログラムマネージャーであるGreg Kuperman氏は、「既存の防衛関連企業と多くの革新的な小規模テクノロジー企業の両方を活用したかったので、多くの小規模企業には政府との複雑な契約手順を理解する時間やリソースがないことから、意図的にSpace-BACN募集への提案はできるだけ簡単にできるようにした」と述べている。

第1の技術分野では、米CACI International(CACI)、アイルランドのmBryonics、独Mynaricが、シングルモードファイバーに結合する小型軽量で、省電力、低コストのフレキシブルな光アパーチャーの開発を目指す。

第2の技術分野では、米II-VI(ツーシックス)、米アリゾナ州立大学、Intelの子会社であるIntel Federalが、単一波長で最大100Gbpsに対応する再構成可能な光モデムの開発を行う。

さらに、第3の技術分野では、SpaceXとして知られている米Space Exploration Technologies、カナダのTelesat、米SpaceLink、米Viasat、Amazonの子会社であるKuiper Government Solutionsが、衛星コンステレーションをまたぐ光衛星間リンク通信をサポートするために必要となる重要なコマンドおよび制御要素を特定し、Space-BACNと商用パートナーの衛星コンステレーションとのインターフェースに必要なスキーマを開発する。

Space-BACNのフェーズ1は14カ月にわたり、第1および第2の技術分野の予備設計レビューとシステムコンポーネント間のインターフェースの定義を完了する予定だ。その後、両分野のチームはフェーズ2へと進み、18カ月かけて光ターミナルコンポーネントの工学設計ユニットの開発をする。それと同時に、第3の技術分野の参加チームは、より複雑でダイナミックな状況で動作するスキーマの開発を継続していくという。

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