生卵の黄身もつぶさず持てる――切り紙ベースの新しいソフトグリッパーを開発

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ノースカロライナ州立大学の研究チームは、切り紙から着想を得て、生卵の黄身もつぶさずつかむソフトグリッパーを開発した。細かいスリットが入った2次元のシートの両端を引くと、3次元の曲面を持ったロボットハンドに変形できる。ソフトロボットだけでなく、関節サポーターなどウェアラブルデバイスにも利用可能だ。研究結果は、2022年1月26日付けの『Nature Communications』に掲載されている。

グリッパー向けに構造を2次元から3次元に変換する技術は以前からあるが、「我々の手法はかなりシンプルで、設計者は2次元材料からさまざまな構造をカスタマイズできる」と、研究チームを率いるJie Yin准教授は語る。

従来のグリッパーは、圧力をかけて物をしっかりとつかむものが多い。その場合、生卵の黄身のような壊れやすいものは上手につかめない可能性がある。それに対して、研究チームが開発したグリッパーは、人が両手を丸めて物を包み込むように、物を取り囲んで持ち上げている。これにより、繊細な物でも正確さを犠牲にすることなく「つかんで」運ぶことができると、Yin准教授は説明する。

研究チームの2次元シートには細かいスリットが多数、平行に入っている。加えられたひずみによる切り紙構造の変化を定量化するために、解析モデルと有限要素法(FEM)シミュレーションを組み合わせ、形状変化を予測した。これにより、外周が円のシートは球状に変形する、といったように、2次元シートの外周の曲率を利用して、最終的な3次元形状を決定できるようになった。

実験では、スリットの入った長円形のPETシートを使い、サイドを引っ張ったり離したりすることで開閉するソフトグリッパーを作製。生卵の黄身だけ持ち上げてつぶさずに戻したり、生きた小魚、水面に浮かんだシャンプーの泡、生卵の上に置かれたナッツ、人間の髪の毛、400gの重りなど、さまざまな物を運ぶことができた。

さらに、肘や膝を曲げ伸ばしできるスマート包帯やモニタリングデバイスなど、医療用途にもこの技術を利用できる可能性がある。研究チームは銀ナノワイヤとシリコーンを使って、膝にフィットしやすく、温めて痛みを和らげるヒーターも試作した。

基本的な概念実証を終え、研究チームは現在、産業界の課題に対処するために、この技術をソフトロボット技術に統合するという過程にある。用途の拡大と実用化に向けて、パートナー企業を募っている。

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