ヘイズ・ジャパンは2016年10月21日、世界33カ国の労働市場おける人材の需給効率を評価・分析した調査研究「グローバル・スキル・インデックス」を発表した。同調査の結果、企業が求めているスキルと実際に求職者が持っているスキルが、日本では大きく乖離していることが改めて浮き彫りになった。
グローバル・スキル・インデックスは、労働市場についての7項目を0から10までの数値で指標化し、人材の需要と供給の状況を評価・分析したもの。労働市場の均衡が最適な状態を5.0とし、0に近づくほど人材の確保が容易、10に近づくほど人材の確保が困難であることを示す。
グローバル・スキル・インデックスによると、日本における「人材ミスマッチ」はアジア・太平洋地域で最も悪い9.8。2015年の10.0から若干改善したものの、依然として世界最悪のレベルだという。
一方、「専門性の高い業界における賃金圧力」は1.0と低い数値を記録した。この指標は、専門性の高い業界の賃金上昇が専門性の低い業界よりも遅いことを意味する。ヘイズ・ジャパンはこの結果の理由について、深刻な人材不足によりサービス産業や福祉業界の賃金見直しが進められ、引上げペースが専門性の高い業界より早かったからだと説明している。
今回の調査研究は、日本の人材の持つスキルが急速な技術の進化やグローバル化に追い付いていないことを明らかにした。最も人材不足が深刻なIT業界では、データサイエンティストなどのビッグデータ関連の技術者が不足。また、自動車産業では自動運転技術者や安全性能技術者など、必要なスキルを持つ人材の確保が難しい状況が続いているという。