有効エリアサイズが従来比約4倍のCWレーザー装置向け空間光制御デバイスを開発 浜松ホトニクス

従来開発品(左)と今回の開発品(右)

浜松ホトニクスは2022年4月12日、高出力産業用連続発振(Continuous Wave:CW)レーザー装置向けの空間光制御デバイス(Spatial Light Modulator:SLM)を開発したと発表した。

同開発品では、有効エリアサイズが30.24×30.72mmと同社従来開発品の約4倍に拡大した。SLMの単位面積当たりに入射するエネルギーを低減できる。同社が大型の光半導体素子の開発、製造で培ったスティッチング技術(回路を繰り返しシリコン基板に露光する技術)を用いた。

また、耐熱性や熱伝導性に優れる大型セラミック基板を採用したことで、放熱効率が向上した。CWレーザーの照射に伴う温度上昇を抑制できる。CWレーザーにSLMを用いた場合、SLMの温度上昇により性能が劣化しやすい点が従来の課題となっていた。

SLMの構造とパターン制御のイメージ

さらに、SLMの大面積化と基板の高平坦度を両立した。基板の平坦度が下がると、照射パターンのビーム形状に歪みが生じてしまう。大面積のシリコン基板は製造工程を経る間にたわみやすいが、同社は独自の光半導体素子の製造技術を応用することで基板の平坦度を保つことに成功した。

金属3Dプリンターのレーザー溶着やレーザー切断などにおいて、レーザー熱加工の効率向上に寄与することが期待される。また、対象物の材質や形状に合わせてビーム形状を制御できるため、高精度なレーザー熱加工が可能となる。

その他、対応波長が1050(±50)nm、画素数が1008×1024ピクセル、画素ピッチが30.0μm、開口率が96.7%となった。

今後は、同開発品に採用する誘電体多層膜ミラーの最適化や耐光性能のさらなる向上を図る。また、同開発品を用いたレーザー加工機による実証実験を進める。

CPS型レーザ加工システムにおける同開発品の応用イメージ

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