米バージニア工科大学の研究チームが、太陽光だけでなく建物内部の光源からの光も活用できる太陽電池パネルを開発した。この太陽電池パネルは厚さ0.5mmと薄く柔軟で、窓のブラインドや壁紙として設置できる。
研究チームが今回開発したのは色素増感型の太陽電池だ。色素増感型太陽電池では、酸化チタンに化学吸着している増感色素が光励起すると、色素から酸化チタンへの電子注入が起こる。
同研究チームの色素増感型太陽電池は、増感色素の安定性を高めて耐久性を向上させた。スクリーン印刷技術を用い、酸化チタン層を含んだ5層構造で構成される。シリコンでは不可能な用途に使える太陽電池の実用化に向けて一歩前進した格好だ。
同太陽電池は手のひらサイズのパネル1枚でおよそ75mWの電力を供給できて、標準的な用紙サイズのパネルがあればスマートフォンを充電できる。また、複数のパネルを組み合わすことで、大面積のパネルを作り出すことも可能だ。
研究チームを率いるShashank Priya教授によれば、シリコン太陽電池は太陽光しか吸収できないが、今回開発されたパネルはLEDや白熱電球、蛍光灯などの発散光も吸収し活用できる。また、どんな形状にも成形できるため、壁紙、窓のブラインド、カーテンなどでも使える見込みだ。
現在のところ、電池としての効率は高くない。Priya教授は「アモルファス・シリコンの効率は13〜15%だが、われわれのパネルの効率はタイルサイズで約10%だ。しかし、効率向上の可能性は十分にある」と語っている。