合金の機械的異方性を高速に評価できる機械学習アルゴリズムの開発

Photo by Bret Latter

板金などの合金材料は、さまざまな部品に成形される前に、一般的には機械的な試験が行われ、選別される。企業は、機械的な試験に商用シミュレーションソフトを使用するが、評価に数カ月かかる。高性能シミュレーションであれば数週間で評価できるが、スーパーコンピューターと専門知識が必要になる。

米サンディア国立研究所と米オハイオ州立大学の研究チームが、合金材料を評価する機械学習アルゴリズム「MAD 3(Material Data Driven Design)」を開発した。機械的な試験の情報を必要としないため、商用シミュレーションソフトに必要な時間コストとリソースを劇的に削減できるという。

研究成果は2022年1月26日、「Materials Science and Engineering: A」誌に掲載された。

MAD 3は、合金が微細な結晶粒子からできていることを利用する。結晶粒子の集まりは、特定の模様を形成し、金属がある方向に強くなる機械的異方性として現れる。

本研究では、結晶粒子による模様と機械的異方性の関係をアルゴリズムに学習させた。電子顕微鏡で得た合金の模様をアルゴリズムに与えると、機械的な試験をせずに、商用ソフトに必要なデータが予測可能である。

研究チームは、フィードフォワードニューラルネットワークと呼ばれる手法を使用して、5万4000余りのシミュレーションした機械的な試験の結果についてアルゴリズムに学習させた。アルゴリズムの計算結果は、実験とスーパーコンピューターでのシミュレーションと優れた一致を示した。

MAD 3は、自動車製造や航空宇宙、その他の産業に、合金材料を評価するためのより高速で費用効果の高い方法を提供すると見込まれている。

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Algorithm could shorten quality testing, research in many industries by months

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