薄型カードサイズの輸送中温度管理デバイス「温度ロガーラベル」を開発――既存品の1/10以下の価格 凸版印刷

凸版印刷は2022年5月16日、輸送中の温度を一定時間ごとに測定、記録し、そのデータを無線でデータベースに転送する、薄型カードサイズのデバイス「温度ロガーラベル」を開発したと発表した。

生鮮食品などの長距離輸送では厳格な温度管理が求められる。輸送時の温度管理ツールとして、従来から「温度ロガー機器」が存在するが、高価なために全梱包に装着するにはコスト負担が大きい。また使用後の回収に手間がかかることなどが課題となっていた。

今回開発した温度ロガーラベルは、温度センサー付きICチップの搭載、使い切り型バッテリーの採用に加え、端子やディスプレイを省いて構造をシンプルにしたことで、従来の機器と比較して10分の1以下の低価格で提供できる。これにより、すべての梱包に貼付して個々の温度変化を記録したり、ラベルを回収しないワンウェイ利用も可能になる。

また今回、温度ロガーラベルに保存された温度記録を読み取る「専用アプリ」と、読み取った温度記録を可視化する「クラウド型管理システム」を開発した。クラウド型管理システムには、不正アクセスを防ぐ「アクセス認証機能」や、輸送品の状態を管理する「トレーサビリティ管理機能」など、長距離輸送時の温度管理に求められる機能を搭載している。

データ読み取り専用アプリ(左)とクラウド型管理システム(右)の画面例

 

測定は1秒間隔から60分間隔までの間の22段階で選択可能。測定開始をタイマー設定することもできる。記録回数は、温度測定モードの選択により3万8000回以上可能。温度測定範囲は-35~+50℃(測定精度±0.5℃)、温度記録時間は30分間隔の記録で101日(目安)、外形寸法は85.5×54×約1mmとなる。NFCとUHFの2タイプの通信規格を用意している。

なお、本製品は、「日本酒輸送実証実験」(令和2年度農林水産省実証実験、2021年10月~2022年3月に実施)に参画した「日本酒コールドチェーンコンソーシアム」によって、日本国内の酒造メーカーから中国国内の保冷倉庫までの梱包箱の表面温度を30分ごとに測定し、記録するツールとして採用された。

販売開始時期は2022年6月で、価格は未定。同社ではソフトウェアやシステムを含めた温度管理ソリューション関連事業で、2023年度に5億円の売り上げを目指す。

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