全天の99%以上をスキャンする宇宙望遠鏡「SPHEREx」、宇宙の起源解明に挑む

NASA Jet Propulsion Laboratory/YouTube

米NASAのジェット推進研究所(JPL)は2022年3月24日、宇宙望遠鏡プロジェクト「SPHEREx」の最終計画の確定を発表した。SPHERExは6カ月をかけて全天をスキャンし、従来と異なる宇宙マップを作成する。2年間のミッションを通して3億個を超える銀河と、天の川銀河を構成する1億個を超える星のデータを収集し、宇宙の起源の謎を解明する。

ハッブル宇宙望遠鏡に代表される多くの望遠鏡では、特定の星や銀河などの大きさや表面温度などを詳細に調査するが、その観測範囲は全天の0.1%にすぎない。既存の望遠鏡とは対照的に、SPHERExは全天の99%以上をスキャンするという特徴がある。

SPHERExは、従来方式をはるかに超える102のカラーバンドの色解像度をもつ分光観測によって、全天マップを生成する。このマップは、ジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡が将来のミッションで観測すべき天体を計画する際にも利用されるなど、両望遠鏡の役割は互いに補完的な関係だ。

SPHERExは、星や惑星系の誕生する際の銀河雲に含まれる氷微粒子から、生命に不可欠と考えられる水や有機分子の含有率を測定する。またビッグバン直後の現象や、銀河が形成される過程などの宇宙創成の謎を解明する。今後、2025年4月までに打ち上げられる予定だ。そして、ビッグバン後の最初の1秒以内に何が起こったのか、銀河はどのように形成され進化するのか、といった謎の解明に役立てられる。

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