高い長期耐熱性と優れた耐加水分解性を有する、冷却配管用多層樹脂チューブ構成を開発 東レ、ポリプラ・エボニック

東レは2022年5月25日、ポリプラ・エボニックと共同で、ポリアミド樹脂(PA)とポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)を接着できる接着材料を開発し、東レのPPS トレリナを内層に、ポリプラ・エボニックのPA12 ダイアミドを外層に用いた冷却配管用多層樹脂チューブ構成を開発したと発表した。開発した樹脂チューブは、長期耐熱性と耐加水分解性を備えている。

今回、両社のポリマー技術と、東レのポリマーアロイ技術を融合し、PAとPPSを接着できる新規接着材料を開発。PAとPPSの接着性に優れ、安定した多層チューブ押出成形ができる新規接着材料を適用し、内層にPPS、外層にPA12を用いた多層樹脂チューブ構成の開発に成功した。

開発した樹脂チューブは、これまでの多層樹脂チューブに比べ、耐熱性に優れ、130℃付近の高温環境下で使用できる。冷却水に対してのイオン溶出が少ないという特性も有する。成形は一般的な樹脂チューブ押出装置ででき、コルゲート成形にも対応。様々な形状での生産が、強靭な機械特性を損なわずにできる。

3層樹脂チューブの構成 最外層:PA12 ダイアミド(ポリプラ・エボニック)、接着層:新規開発材料(東レ)、最内層:PPS トレリナ(東レ)

近年、PA単層チューブや内層にポリプロピレン(PP)を使用した多層樹脂チューブを軽量化による燃費向上を目的に使用するケースが増えているが、耐熱性や加水分解などに課題があった。耐熱性、耐加水分解性に優れた材料であるPPSは、チューブ内層に使用することでこうした課題を解決できるが、PA12を代表とする長鎖PAとPPSは直接接着できないため、接着材料の開発が求められていた。

開発した多層樹脂チューブ構成は、自動車の冷却配管、特に高温の冷却水が流れる部分の金属配管からの置き換えや、低イオン溶出性を生かした電気自動車、あるいは燃料電池自動車向けの冷却配管などへの採用を目指す。産業機械など冷却配管全般への展開も考えている。

また、ポリプラ・エボニックは、今回新たに開発したPPS内層の多層チューブに加え、従来のPA単層チューブやPP内層の多層チューブを展開。自動車のCO2排出削減へ貢献し、サステナブルな社会を目指す。東レは、PPS内層の多層樹脂チューブ用素材を展開することで、次世代自動車の発展に貢献していく。

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